第11話 これも転生って事なの!

 何かが体の中をヌルヌルと這いずり回る。


「ふーん人の体ってややこしい、どうして私此処にいるんだろ」

「だ、だれ?」


「えーとキメラって言たっけ」

奥津比売おきつひめなの?」

「見えるの?」

「んー真っ暗で何も見えない」

「よく分かったね」

「さっきの声と同じだから」

「へー珍しい、神と話せる子なんてほとんどいないのに」


「えっでもさっき名前を教えてくれたじゃない」

「あれは人形ひとがたよ、形が無いとコーヒーも飲めないし妖しとも話せない、あなたは妖しに近いから話せたんじゃないかな、いま私は外へ出てるから神そのものよ」


「はあ、よく分かんないけど奥津比売おきつひめが私の中に入ってきているからじゃないの」

「そうなのかな、中々居心地がいいわね、依り代にしちゃおかな」

「依り代って?」

「今話をした人形ひとがたと同じようなもの」

「じゃああたしは奥津比売の人形って事?」


「そういう事ね、でもそうするとキメラが居なくなっちゃうわ、面白そうな子なのに」

「居なくなるって、どういう事」

「有るのはキメラの体だけ、中身は私よ、妖しが人を喰うのと結果は同じ」


「えっあたし食べられちゃうの」

「私は食べたりしないけど横取りしちゃうわけ、キメラの魂は消えるわでも体が残るって事は記憶も残るの、私がキメラのあとを引き継ぐ」


「あたしはどうなるの?」

「だからキメラの魂は消えて無くなるの、キメラの記憶を引き継いで私がキメラとして何百年でも生きることが出来るのよ、だれも入れ替わったことに気付かない、良い人生が送れるわよ」


「えっそんな、消えたくない、やっとまともに生きて行けるようになったところなのに」

「大丈夫よ、あなた本人だって気付かない、目が覚めたらいつもと同じ、ただ神が憑いてるから万事うまく行く、世界の王にだって望めば成れるのよ」 

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