第6話 それでもこの眠たい目が
おやすみ
君のきつい目が僕の隣で閉じている
なんだかとても嬉しくてたまらない
きっといつかまた人類は
雪に閉ざされこの星に埋もれるのだろう
もしくは僕や誰かの作ったロボットが
または進化した人類が
殺しあって滅ぶだろう
そうしてどんなに長生きしてもいつかしぬ
それまでのいのちだ
好きなことをしていきたい
君のそばは心地いい
君はきっと僕のそばは嫌なんだろう
嫌になってきたんだろう
でもこうして眠っている
僕に弱さをさらけ出してくれる
君が好きだ
初めて会ったあの日
思いっきり僕を叱りつけて
凍えるような目で僕を見て
だけど急に怯えるような目で
それでも君は強がって僕の手をとった
その時は実際には握らなかったけど
そうして僕らは協力して平和を取り戻した
もう好きにいきていいんだ
不器用な僕らにはそれができない
だからこうして微妙な距離を保っている
「あんたはたいてい眠そうだよね」
「君はいつも強がってるよね」
「あんたこそ口ばっかりだよ」
「君はギャップがすごいよね」
「それはあんたの方でしょ?」
ふふふ、おかしくなって我慢ができなくなった。笑われたと思って彼女は余計に怒る。
つかんだ彼女の腕をひきよせた
君の寝顔やいつかの会話を思い出していた
「君はいつも強がってるよね」
「え、なに」
「もっと、ここに来てくれ」
ついに言って
「あ、え、だって仕事が」
「仕事なんか、」
しまった
ポカンとした顔の君
ああ本当
こんな時でも好きだなあ
「うん、来るね」
強がりは僕の方だった
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