第4話 それでもこの冷えた手が

 それでも君は


 僕は君が好きだ

 それでもこの冷えた手が嫌いだ


 君は弱っていないとここには来てくれない

 君のいいところであり悪いところは

 その強さ

 弱っている君は可愛い

 もちろん強気な君もいいけれど

 僕としてはもっともっとここにいてほしい


 君のこの手が

 こんなに冷たいと知ったのは最近で

 その時も君は弱っていて

 だけど強気なときでも冷たいことを知った


 僕は君のバカなところも知っているけど

 好きなものを我慢したりとか

 悪ぶったり突っ走ったりするところとか

 だけどこんな冷たい手をしていたなんて

 見ているだけじゃわからなかった

 足だって同じように冷たくて


 僕は君のことを知らないんだと思った

 僕より君のことを知っている人がもっといるだろう

 そのことにやっと気づいた

 君の手が冷たいままだと困る

 どこかの誰かが君をあたためようとするだろう

 手を握るだろう

 温かいスープを飲ませるだろう

 寄り添い合うだろう


 想像するのが嫌だ

 君のせいで幸せになれる

 幸せという表現でいいのかわからないが

 君のせいで地獄にもいける

 まるで君に踊らされているが

 それを表に出さない

 こんなにもバカ野郎では

 嫌われてしまうだろうから


 君は僕のせいでいろんな顔をする

 それがすごく好きだ

 きっと僕もそれを見て顔がゆるんでいるだろう

 コントロールがきかないからしかたない


 君の手は僕があたためる

 言葉にはできなくて

 全く本当に格好がつかない

 コントロールできない

 どうにかできないかなあ

 どうにもならないんだよなあ


 バカやろう

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