第2話ニューゲーム

 安全性が確認された電脳世界。ここで言う安全性とは生死が関与するかだと思う。


 幻想世界で観光客が行方不明になったとあったが、その実は死亡を確認した上で記録上、行方不明にしていると言うのがニュースをあまり見ない俺にもわかった。


 その点電脳世界で死亡した場合は近くの村や町で復活(リスボーン)できるらしい。まさにゲームの世界である。


 本来ならばそのまま国のお偉いさんが調査をするのだろうが、その世界がゲームであれば話は別だ。


 まぁ適材適所ってやつだろう。


 そのための今回のクローズドテストだ。


 今回のテスト参加者は全部で50名。清長が言うにはほとんどが何かしらのゲームで功績を残しているような顔ぶれらしい。


「では次は君たちだ。もし、何かあればすぐにこの装置を使いなさい。」


 そう言って警備の人からスイッチのような機械を手渡される。


「ゲームの世界に行くってのに、こんなに緊迫した空気にされたんじゃ、楽しい事も楽しめねぇよなぁ〜」


 転移空間(ポータル)の前に立った清長が言った。


「何事も安全でなきゃ楽しめないだろ」


「へぇ〜わりと慎重なんだな」


「当たり前だ。こんな現実離れしたとこに入ろうとしているんだ」


「でもちょっと、楽しみって顔してるぜ?」


「なっ、うるさい!」


 内心少し楽しみであった。現実の毎日には飽き飽きしていた。何かが変わると期待していた。


「ほんじゃ、行こうぜ」


「ああ。」


 そう言って、転移空間へ足を進めた。


 目の前が真っ白になる。


 今自分が立っているのか、浮いているのかもわからなくなるような。


 まるで夢を見ているようだった。


「ここは…?」


 気がつくと、広場のような場所に立っていた。


「おっ、楽人。気がついたか」


「ああ。ここが電脳世界…なのか?」


「多分そう。ってか間違いないな。見てみろよ、歩いている連中の服装」


 そう言って目を向けると、確かに俺らのいた世界には見なれない姿の人ばかりだった。


 重そうな鎧を着てる者、ローブで見を包んでいる者。そして各々腰に武器らしきものを身に着けていた。


「俺らの格好ってもしかして、だいぶ浮く?」


「まぁそうだろうな」


 確かにさっきから通る人の目が痛い。


「でもまずは、ジョブ判定を受けようぜ」


「ジョブ判定…?」


「あぁ、お前が寝てる間に町中で軽く聞き込みは済ませておいた」


「おい、ちゃんと見張っててくれよ!」


「大丈夫さ、こういう町中では危険な行為は出来ないってゲームには相場が決まってるってもんよ」


「そういうものなのか…?」


「そういうもの!まぁ取り敢えず聞き込みの結果だが、まずはあの教会にいる神官にジョブ判定をしてもらう。その後に向こうに見える神殿で判定してもらったジョブになる事ができるらしい。装備や服装を整えるのはその後だ。」


清長に促されるまま、俺達はは教会へ向かった。

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リアルファンタジーゲーム  くぼりゅー @kuboryuPRZ32

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