リアルファンタジーゲーム
くぼりゅー
第1話 電脳ダイブ
「なぁ、一緒にゲームの世界に行こうぜ!」
元気よくそう俺に声をかけてきたのは英堂清長(えいどうきよなが)有名なゲーマーで、一応俺の数少ない友人である。
そんなこいつが言っている【ゲームの世界に行く】というのは冗談ではない。
3年前、俺らの住んでいる日本で【ポータル】というものが発見された。そこで分かったのは、この世界には俺らの住んでいる世界の他に二つの世界がある事。
名前は幻想世界と電脳世界と呼ばれているらしい。清長から聞いた話では、幻想世界はファンタジーの世界。様々な種族が暮らしているらしい。
そして電脳世界というのが、ゲームをそのまま再現したような世界らしい。
さっきかららしいを連呼しているが、俺はあまりにその辺には疎かった。興味がないというか、自分は関わらないだろうと思っていたからだ。
「幻想世界は興味ないわけ?」
「お前はニュースもみないのか」
「へ?」
「幻想世界へのポータルは国が危険視して、封鎖されたの、割と有名な話よ?」
清長の言ったとおりにネットで検索をかけてみると、それらしい記事がいくつもヒットした。
『幻想世界は危険な世界。一般人の介入を禁ずる』
物騒な記事であったが要約すると、幻想世界には色んな種族が存在しており、中には真っ先に襲いかかってくる危険な種族もいる。軽はずみにポータルに入った観光客が行方不明になった者もいる。国は幻想世界を危険視し、一般人のポータルの利用を禁止とする。だそうだ。
「電脳世界へのポータルは禁止されてないのか?」
「それなんだけどよ、前まではどちらも禁止だったんだけど、数日前に電脳世界は安全だってことがわかって、今はクローズドテストとして体験者を募ってんだよ。」
「それって、俺らが参加できるものなのか?」
「普通じゃ無理。だけど、俺ほどのゲーマーとなるとオファーが来るってもんよ!」
「じゃあ、そのゲーマー仲間と行けばいいじゃないか」
「俺もネットの世界ならそうしてもいいんだけどさ、電脳世界に一緒に行くって事は、それなりに仲良い奴のが何かと都合がいいだろ?」
「まぁ、わからなくもないが…」
「な?頼むよ!クローズドテストだけでいいから、一緒に!」
清長が俺の肩を揺らしながら必死に説得する。普段はここまで熱い奴ではないが、よほどその電脳世界に興味があるらしい。
「はぁ…わかったよ、一緒に行くよ」
この時の俺達はきっと、ゲームで遊ぶという感覚でしかなかったと思う。
けれどそのゲームは後に、現実を、幻想をも巻き込む事となる。
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