マッチ売りの少年
@sakabeko
第1話 マッチ売りの少年
「マッチはいりませんか?」
寒空の下、少年はマッチを売っていた。
誰も見向きもしない。
「……」
少年がマッチを売り始めて4時間が経った。外は冷え込み、町を出歩いている人もほぼいない。
「寒い。売れないな……」
うなだれながら少年は商品のマッチを擦った。
「とにかく、これを売らなきゃ」
マッチの火を見つめながら少年は頭をひねった。
「付加価値を付けなければ売れない。付加価値……」
少年は路地でマッチの火を見つめながらブツブツ言っている。傍から見れば不審者だ。
「いや、寒い環境に暖かくて暖の取れるマッチは需要的には問題ないはずだ。問題は競合が多く利便性や暖房性能の面で圧倒的に負けている点だ。つまり、マッチは暖房目的という点では勝てない。では、他の目的や価値を求めてマッチを買うという行動を消費者に取らせなければならない。しかし、暖房以外の他の価値……か」
そこでマッチの火は消えた。
「……いったん今日は帰ろう。改めて作戦考えなきゃ」
少年は立ち上がって、早足で帰った。
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