第11話 九十九何でも屋
叔父は「
「へぇ、数学の先生。頭いいですなぁ」
拓郎が苦笑いをする。
「適当なところで帰してあげてよ、明日も仕事なんだから」
啓介が適当に返事をする。
拓郎はソファーに先に座らされる。
「ところでよう」啓介が拓郎にたばこを進める。拓郎は吸わないと断る。「お前の学校、また何かあったのか?」
吸わない人の前じゃぁ吸えないねぇ。と言いながら煙草を片付ける。部屋のあちこちを動き回り、パン、お菓子、つまみの珍味などを机に置く。
「パトカーだの、救急車だの入っていったから」
「新聞に載るでしょ」
「なんだよそれ、この前のだってそういって、結局、新聞で知って、お前に聞いたけどよぉ。やな教師だったなぁ。ああいうやつが教師になれるんだから不思議だよねぇ」
啓介はそう言いながら、缶ビールを開ける。「先生が車じゃなきゃ」と言いながら、拓郎にコーヒーを用意して、どかっとソファーに沈む。
「生徒を犯人に仕立てようなんてなぁ」
「あぁ。彼は、彼女、生徒ですけど。かなり気に入っていたようで、あの後、押収されたPCの中に、彼女と付き合っている妄想日記が出てきたそうで。だから、夏季合宿に来なかったのも、彼氏、彼女として許せなかったようですね」
と拓郎が言うと、さくっと焼きそばを作って運んできた一華が驚く。
「そうなんだ」一華が拓郎に皿を差し出す。
「青田刑事が言ってた」割り箸を割る。
「私のところは立川さんが来たきりだから、聞いてない。まぁ、いいけど」
焼きそばをすする。
「それにしてもよ、変態だよな。レイプしてたんだろ? 生徒に成績のことで脅して」
「ええ。リストを作って、気に入った子に暴力を振るうと名前を消していっていたようで、」
「ひでぇ、男だ。そんで今日のは? 今日のも、そんな感じか?」
「さぁ。よくわからなくて」拓郎は頭を掻く。
「一華は? どうなんだ?」
「解るわけないでしょ。この前のは、自分のテリトリー内で、その前に同じようなことを体験してたから解っただけ。声はするけど姿が見えない。でも階段を下りてくると見える。すごい反射だって話してたんでね。
だけど、今回のはそう言うことじゃないから」
「じゃぁ、どういうことだよ」
「……、ねぇ、おじさん? ライブの最中じゃないの?」
「おあぅ、やっべ。先生すまねぇ。また後日ゆっくり来てくれよ。俺は、あんたを気に入ったぜ」
そう言って啓介はバタバタと出かけて行った。
「ライブ?」
「隣のバーでバンド演奏してるの」
「バンド? ……ロック?」
一華は黙ってうなずき、焼きそばをすすった。
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