下戸の願望(第三十七回 お題「酒」)

 かなりの下戸で、アルコール度数の低いカクテルでも全部飲んだらひっくり返ってしまう。

 でも、ビールもウイスキーも日本酒も味は嫌いではないし、外でも倒れない程度に飲みたい。

 それを叶えるには、酒に強い恋人を作って、飲む時にひとくちふたくち分けてもらうしかない。

 「飲めない男の人は大変だよねえ。営業でなくてもお客さんと飲む席って、たまにあるし」

 そう言いながら、彼女がアードベッグのグラスを回してくれる。その中身をちびりとめて、彼女の言葉と酒の味を堪能する。

 自分の前にあったウーロン茶のグラスを持って行った彼女が、それをものすごい勢いで飲みだした。

 彼女も、自分と大して変わらない下戸である。

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