天上騒乱(第三十六回 お題「雲」)

「おい、積乱雲」

「なんだ、巻積雲」

「そこをどいてもらおうか」

「断わる」

「もう処暑は過ぎた。夏の雲はさっさと引っ込め」

「古くさい暦に縛られるのはごめんだ」

「なら、蹴散らしてやる」

「その台詞、そっくりそのまま返してやる」

「このっ、このっ、このっ」

「くそっ、くそっ、くそっ」

「……………あ」

「お前がぶつかった勢いで、うちの雲に乗ってた雷神さまが地上に落っこっちゃったじゃないか。どう責任取る気だ、巻積雲」

「責任取って…」

「よぉしよし、いい子だ。帰るんだな」

「残ってる風神さまも地上に落っことす!」

「どうしてそうなる! 痛えーっ!」

かくして、地上はゲリラ雷雨となる。

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