300字ss参加作

完全犯罪(第二十九回 お題「氷」)

 「では、凶器はどこに消えてしまったのか」

 庭先に立つ名探偵はそう言って得意げに笑った。

 「お宅は業務用の天然氷を貯蔵する氷室をお持ちだ。あの大きくてガチガチの塊を上から落とされたら、人間の頭も無事では済みますまい。被害者が発見されたのは浴室、びしょ濡れで発見されても不自然でなく、氷を始末するのも簡単な場所だ」

 名探偵は勝ち誇った顔で私を指差した。

 「犯人はあなただ――!?」

 私はふうと息を吐いた。

 まさか名探偵も、自分の高級なアクセサリーが反射した光がセンサーを「誤動作」させて、屋根の自動除雪装置を動かすところまでは推理できなかっただろう。

 「誤動作」のもとを片付けて、警察に電話をかけた。

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