エロ漫画で飲食物が出てきたらほぼ100%の確率でなんらかの薬が盛られている法則

「おごぁっ!?」


 ブタとゴリラをかけあわせてオークに産ませたような、見られたものじゃない顔が、より悪化して真横を向いた。ひゃあ、と俺たちを囲む見物人の声が一瞬あがり、すぐに沈黙した。


 がらん、と長い棒がデカブツのわきに転がる。

 ぐぐぐとオーキンはゆっくり振り向き、たれる鼻血もぬぐわず、ひどく低い声で言った。「なにしやがる」


 びくり震えあがるも、得物をほうって丸腰になった悟空は、サル顔をさらにしわくちゃにして、ひひ、といびつに笑う。


「すいやせん、親分。なにやらオラ、そのコにイカレちまったのか手もとがすべってしまいやして」


 あ、一人称、やっぱりオラなんだ、とどうでもいいことを考えつつ、頭んなかまで染まっているであろうその帯びたピンク色で察する。そうか、魅了テンプテーションはオーキンじゃなくて手下にかけたのか。

 もうひとり、特徴なしのモブいモブタも、ソアラが放ったのと同じ淡い色の光に染まり、リーダーに刃を向ける。「親ビンだけいつもいつもズルいっスよ」


 親ビンて。だから昭和かよおまえら。


 オーク親ビンは、てめえら、と存分に凄みをきかせてのそり立ち上がる。怒りの矛先を向けられていないのに漏らしそうな迫力だ。前のほうにいた女たちが、ひぎぃっ、とエロ漫画でしか見ないような悲鳴をあげた。


 オービンから解放されたソアラは跳ね起きすばやく距離をとる。

 これで三対一。だが、悟空・モブタはオービンにたちうちできるレベルじゃない。敵として妨害されないだけまし程度。あいつらにボスの足止めをさせといて女の子ロリを連れて逃げ――そういえばどこだ、あの子。

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