ずっとデネブのターン! ドロー! モノローグカード「シリアスな回想録」 場にシリアスな回想を延々と展開する
「私は
夜中、というよりは夜明け近くの未明だったと思います。
泊まっていた宿屋の騒々しさに目が覚め、まだ夜中なのになんの騒ぎだろう、火事なのか、とベッドを抜け出しました。
火事、という点では当たっていましたが、想像した場所と規模はまったく違いました。
外に出たとたん、きっとこの小さな街が始まって以来の大騒動に違いない、とすぐに直感しました。
住人も冒険者も、大人も子供も、おじさんもおばさんも、若者も老人も、とにかくあらゆる人たちが表に飛び出してきて、血相を変えて、空の一方向を凝視していました。
ある方角だけが明るいんです。夜明けのしんとした白む感じじゃなくて、もっと赤々とした、情動的で、不吉な明るみ。
なにが起きているのか私にはわかっていました。『リオが燃えている!』との叫び声を聞かなくても。
だから周りの人たちのようにあわてふためいて駆けだしたりすることはなく、でも、呆然とした顔をしてたのかな、とぼとぼと街の外まで歩いていって、騒然となっているほかの人たちといっしょに、平原の先、地平線のきわにある
あれほどぞくっとしたこともそう多くはありませんね。
火の手があがるなんて生やさしいものじゃない。はるか遠くの街影全体が炎に包まれているんです。音もなく、ただただ明るく、赤く。まだ暗い闇夜のなかで。昨日、つい昨日まで自分がすごしていた街が。
ああ、神様が言ったことって本当だったんだ、って」
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