ここからずっとデネブのターン!

「とにかく、古くから王と街の警備に特化していたクルセイダーが、突然、遠征を始めたのは、ゴネル=ゴリルとジ=エンガ、ふたりの王女がそれを求めたことにありました。

 ある日、長女たちは、神の啓示を受けたと王に告げます。その経緯は、のちに民衆へ布告されました。


 神様が言うには『最近、魔王が各地で攻勢を強めているのは、長く勇者を見つけられずあせっているため。魔王の勢力が各地に分散している今こそ、王国軍を派遣して各個撃破し、また、魔王に先んじて勇者を探しだす好機』と。


 王は、王都の守りが手薄になる、と渋ったようですが、長女と次女は『神は特別な加護を約束してくれた。我が国が魔王討伐に多大な功績を挙げれば、魔王亡きあとの世で王国の威信と発言力は飛躍的に高まる』と説き伏せ、軍の遠征が決まりました。


 始めのうちは慎重に少数の派遣にとどめていましたが、王都近辺のモンスターが減った一方、出兵先では魔王の強力な軍勢に苦戦を強いられていました。

 王は段階的に援軍を増やしていきます。それでも、多くの地に送り込むには兵が足りません。長女たちはクルセイダーまでも派兵するよう意見し、ついに虎の子の精鋭部隊が駆り出されました。


 噂で漏れてくるところによると、このことには将軍や参謀などから猛烈な反対があったようです。

 王都の防御に対する懸念が以前から高まっていましたが、伝統的に王家の盾を象徴してきたクルセイダーが出征すれば、戦力面のみならず士気にも関わると。

 王家お抱えの占星術師の上奏によれば、凶星が甚大な災厄を予兆しており、今すぐ全軍を王都へ帰還させなくてはいけない。


 そしてその日・・・が訪れました」

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