スライムがあらわれた! コマンド? →にげる アルタイルはにげだした!

 数百メートル先に、ぷるっぷると全身を震わせる真っ青ななにかがあった。

 飛び跳ね、こちらに向かってくる。


 あれは――――スライム?


 著作権的に完全にアウトな、ちょっと言及するわけにはいかない、モザイク必須のモロな形状と笑顔だ。


 いや、姿形はともかく、ちょっとあれ――デカすぎない?


 だだっ広い草原のただなかで、初めは遠近感もつかめなかった。が、どんどん迫ってくるにつれて、アフリカゾウぐらいの大きさはあると気づいた。


【スーパースペシャルスライム/レベル:八十八】


 って待て待てっ、スーパースペシャルってなんだよスーパースペシャルって!

 俺は預かりもののかごを拾い上げ駆けだした。


 レベル八十八て。遭遇するモンスター、片っ端からレベルぶっ壊れすぎだろ、この世界。旅だちの街的な拠点付近に絶対いちゃだめなやつじゃねーかっ。


「こら神、てめえの差し金か!」遁走しながら俺は空に向かって吠える。

『わしはなにもしていない。通常の遭遇だ』

「あれのどこが通常モンスターだよ!」

『SSS(スーパースペシャルスライム)は極めてまれに出現する超レアモンスターだな。運がいい。レアアイテムを落とすぞ』

「逆だよっ、運がクッソ低いからエンカウントしてんだよっ。レアドロップするとかどうでもいいわっ。倒せねーから!」


 なにがSSSだよ、スーパーがつかないほうで経験値稼ぎさせろや。街の近辺で最初に遭遇するやつがこれって、乱数調整でもしない限りありえねえだろ。


 土を蹴って逃げまわる俺を、青い巨体がどすんどすん跳ねて迫ってくる。ゾウみたいにデカいくせに無駄に速い。


『ゾウは結構足が速いぞ』

「どうでもいいわ! 心読むなっ。雷であいつ倒せっ」

『さっきやめろって言ったの誰だったかのお』

「根に持つタイプかっ。神のくせに器ちっせえな」

『なんとでも言え。手助けはしない』使えねえ。

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