やめて、空!あんたが倒れたら家族の復活はどうなるの?HPは残ってる。ここを耐えれば勝てるんだから!次回「日生 空、死す」デュエルスタンバイ!
しまった、あいつの護衛から外れた俺はひどく無防備! たとえるなら、家族の在宅中に部屋のドアを全開にして『おねえちゃあん……おまたがあついよお』とのセリフが添えられたアレな画像を鑑賞しつつ股間をいじる行為にふけるがごとし。
その背後に迫るおかんのように、鳥の野郎が急降下する。
くっ、俺だって勇者だ、いつまでも魔道士に守られてばっかでいられるか。
大上段に魔よけの剣を構える。うおおおっ、との咆哮とともにナントカバードを一刀両断にする――つもりだった。
無理だ、とても人間の反応できる速さじゃない。剣を振り下ろすより早く、翼をたたんだ褐色の塊が激突する。
再び草の上にぶっ倒れた。いっでえ。ぶつかった手に痛みとしびれが走り、剣が消えた。またしても鳥に奪われた。
あんにゃろおっ。半身を起こして頭上をにらむ。
この世界といい、昔、遠足で行った江ノ島といい、何回、トンビにものを取られるんだ、俺。カラスにも年一の頻度で襲われるし、小学校の飼育小屋でも当番のたびにニワトリとチャボにつつかれたし、ケンタで注文すると高確率であばらのやつ(一番食いにくいとこだ)を引くし、絶対、鳥と相性が悪い。
カラスといえば、このトンビの野郎も同じぐらい高い知能があるんだろう。奴は俺の真上でまた、ぽいと剣を放り捨てた。
みるみるうちにこっちへ落下し――
「やっ……べ」
気づいたときには、切っ先の向いた剣が恐ろしい速度で迫っていた。まずい、座り込んだままでとっさに身動きできない。
ひいっ、との情けない悲鳴を――
ドッ。
突き立った剣が、とぎれさせた。
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