命って重いのに軽いんだね

小川貴央

第1話 命って重いのに軽い


「命って重いのに、軽いんだね」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「帰って来れたんだなぁ・・・」~って。


昼前、再検査の予約日、病院に着く直前に

急に足元がふらつき出し、頭がクラクラ、

歩行もふらふら状態~


血圧が上が238、下が130越え、


看護師が

「これで運転してきたんですかー?」


直ぐに診察室に呼ばれたが歩行がままならず。


医師が

「いつ脳出血を起こすか分からん状態です。

 命の危険があるので、緊急措置で点滴投与

 しますので、いいですね!」 


近くの車いすにもたれ掛かり、そのまま救急室に

運ばれ、点滴投与・・・


お酒に酔ったようなホワ~んとしたボケ状態だった。


しばらくして、自分の辿った道が走馬灯のように

脳裏を駆け巡った~


「あぁ、思えばずっと駆け足で来たなあ~」


医師から脳出血一歩手前の危険状態!と告げられ

ても自分自身、ひっ迫感や危機意識が余り無かった

のも恐らく既にふらふらと立てず、歩けない状態の

ため半ば、うわの空だったのだろう。


夕方ようやく下がり始め落ち着いてきて長い点滴も

終わった。


腹も空かなかったが何かちょっとしたものが買いた

くて、小さな売店で温かい緑茶とタラコお握りを

一個買って帰ってきた。


だが今も昼前に自分が死の間際にウロチョロして

いたんだという実感が無い。


それよりも、


「命って尊くて重いものなのに軽いんだなあ~」


 って。


魂の廻りに風が吹いているとしたら、ちょっとした

油断や、わずかに揺らぎが変わっただけで、まるで


手を離した風船のように命って空高く昇って逝くの

だなあ~って、


そんな気がした・・・。



帰りしな、看護師が言った「今日、偶々予約日で病院に

来た時で良かったですね~」と。


確かに、そうでなかったら今ごろは・・・




看護師の優しい気遣いや温かいお声掛けが嬉しかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

 命って重いのに軽いんだね 小川貴央 @nmikky

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ