鬼を家に入れるなんて普通ならいつ襲われてもおかしくないのに


「酒があるならいただこうかな」


彼の返答には驚いた


名前も知らない、酔わせて人間に捕えさせるかもしれない、鬼にとっても私は怪しいヤツだったはずなのに


彼は酒をいただこうと言った


十を超える時父と母は山賊に殺されてしまって以来この家には私一人


近所のおばさんやオヤジさん、友達達は優しく、毎日のように食べるものを分けてくれた


まだ飲めぬ酒さえ家にあった


飲まずに悪くするのは申し訳ない、ならこの鬼に飲ませよう、そう思ったのかもしれない


「沢山ありますからどうぞ飲んでください」


酒を飲める歳にはなったが飲まなかった

人に飯を出す方が性に合っている


「この辺では甘い酒を飲むのだな」


麦やキビがとれる


そこから村のオヤジさん達が作るのだ

甘い酒ができて当たり前だ

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百鬼夜行 @tatusamalove

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