第6話

あんな目が出来る人間が、この地球上に存在していることが信じられないほどの、やばくて恐ろしい目だった。


――くっ、来るなっ!


男がさらに近づいて来た。


その時。


――うっ……。


私は胸を押さえ、そのまま意識を失った。



目を開けると、白い天井が見えた。


「あなた!」


見れば妻がそこにいた。


「よかった。気がついたのね」


私は周りを見渡した。


どうやらここは病院のようだ。


あの目。


そうあんな目を見てしまったために、もともと心臓の弱かった私は発作を起こし、意識を失ってしまったのだ。


だが私は助かった。


心臓の発作からも、あの男からも。



 桃田の場合。


僕が片道一車線の県道を走っていると、いつの間にか黒いバンがぴったりと張り付いていた。


――うわあ、あおり運転ってやつだ。


僕はその時点で、すでに少し恐怖を感じていた。

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