第3話
――うん? あおりかい、おにいさん。
そのバンはあたいの車のすぐ後ろに、ぴったりとついていた。
――お初にお目にかかりますの車にそんなことをして、楽しいのかい? ちっちゃい男だねえ。自分で自分はちっちゃくてみみっちい男ですと、大声で宣伝しているようなもんだけどもねえ。
あたいがそんなことを考えていると、バンが反対車線に入り、驚くほどの加速であたいの車を抜くと、急ハンドルであたいの車の前に割り込み、急ブレーキをかけた。
――この、バカ!
あたいの車はすんでのところでバンにぶつかることなく止まった。
バンはそのままゆっくりと進み、やがて止まった。
――あんにゃろう!
あたいが車から降りようとすると、先にバンから男が降りてきた。
刈り上げた髪に上半身は黒のタンクトップで、下は作業ズボン。
長身で体格のいい男だ。
――……。
あたいは降りるのをやめ、鉄製の警棒に手をかけた。
使い慣れたもので、いざというときのためにと車の中に置いていたものだ。
――来るなら来いや!
あたいは近づいてくる男と目が合った。
その目を見たあたいは、手にしていた警棒を下に落としてしまった。
つい最近までレディスの頭として、その方面には名を轟かせていたあたい。
金属バットやナイフを当たり前のように使ったガチのけんかなんて、数え切れないほどやってきた。
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