第11話 性癖
読み返してみたのだが、俺の妄想やマスターベーションに耽るところなど聞かされたって気持ち悪いと思う。すまぬ。結論を言ってしまうと、俺はこのデートで、以前から知っていたことをKさんに告げたんだ。よくそんなタイミングがきたなと思うけど、会話はどうしても興味のあることに進んでしまうものだ。言ってしまった後、Kさんの反応が遅れ、俺は、口が滑った!ヤバい!と思ったが、少し間があいた後にKさんは俺の目を見つめ、ゆっくりとした口調で言った。
「それは、あなたの趣味嗜好を私に知られたかったと、解釈して良いのでしょうか。」
適度な距離を保っていたKさんが、気付くと俺の顔のすぐ前に、キレイな顔を寄せてきた。身体に軽く手を触れられ、俺はたじろいでしまった。夜の上野公園だった。恋人のように手を握るのではなく、Kさんの手に手を触れられ、俺の全部の感覚が手に集まってしまったような感覚。控え目だったKさんが、突如、積極的になり、もうこれ以上抑えることは出来ない!と、俺はKさんを抱きしめてしまった。
「どうしたいの?・・・・・どうされたいの?」
耳元で囁く。俺は彼女の手をつかみ、早足でホテル街に歩こうとした。
「待って。」
待てない!と思ったが、俺は残っていた理性を掻き集めて立ち止まった。距離は相変わらず、他人ではない位置に居てくれる。
「あなたのことを聞かせて。」
何もかも知り尽くしているような艶かしい視線を向けられた俺は、自分の性癖を彼女に話していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます