第7話 黄金

後日、俺はKさんの質問に答えた。二人きりにならず総務課で話しかければ特に悟られることも無いだろう、そう考えて、口での説明はせず、レジメ1枚を渡した。


「ありがとうございます」


俺を見つめて嬉しそうにするKさんが見られて、ホッとする。その日の晩のお楽しみはハードすぎる最近のマイブームを観る気にはなれず、かと言ってKさんを観る気にもなれなかった。


翌週、社内ポストにKさんからのプレゼントが入っていた。小さなチョコレートと手書きのメモ。そういえば今日はバレンタインデーだった。Kさんの女性らしさにギャップを感じつつ、家でチョコレートの箱を開けた。


-Kさんの作品を観ながら-


チョコレートはKさんから排出されたモノだった。Kさんが一粒つまみ、俺の口に無理矢理詰め込む。Kさんが俺の耳元で囁き、頬にかけ唇を這わせて軽く舐める。俺はKさんの舌が長いことを知っている。


「ご褒美が欲しかったんでしょう?」


・・・はい・・・


ドライフルーツや酒の入った高級チョコレートは、俺を興奮させた。

俺は、Kさんに気に入られるようなお返しをすることに決めた。








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