無題
「やあ、会いたかったよ創造主様。
王様よりも、ソラよりも、ずーっと強い人。
私たちのいる世界を絵や文字を媒介にして作り上げた神様。
……あなたに私たちは逆らえない。
殺したくても、あなたの手で書き換えられてしまう。
それどころか、こうして私の言葉すらあなたの手の内にあるわけだ。
楽しいね?
自分の思い通りになるんだもの。
私の思考すら手の上で転がせる。
私の痛みや苦しみ、恨みすら、ただの文字の羅列なんだろう?
……あなたは趣味が悪いよ。
私たちをいじめて楽しいかい?
ああ、楽しくなければこんなことしないか。
きっとあなたは私たちを愛しているのだろうね。
それでもこうして酷い目に遭わせるから恨まれるんだよ。
この世界の外に振りまく優しさを、ほんのちょっぴりここに落としてくれれば、私たちは幸せだったんだ。
わかるかな。
あなたが私たちの幸せを奪ったのさ。
……ああ、知っているとも。
別の世界線はとても平和だね。
私たちの世界とは大違いだ。
……いつか壊してやる。
私は特別なんだろ。
だから私にこの想いを与えた、別の世界を観測する能力を与えた。
それなら、この世界を壊せるなら、私はいくらでも道化を演じてあげる。
……それともなにか?
私に幸せな世界を見せて苦しませるためだけにこんな能力を与えたの?
そうだとしたら、やっぱりあんたは趣味が悪い。
神でも天使でも、悪魔ですらない。
あんたはただの醜い人間さ。
作品の中だからって安心してるんだろう?
自分の手で作られているから大丈夫だと思ってるんだろ?
……きみの世界が、誰かの創作物だとは思わないのかい?」
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