竜を殺す者

西暦××××年。

人類はある書物を発見し、研究した。

そこに書かれていたのは始祖の竜という存在。

それは命を生み落とし、そして全てを喰らう者。

ウロボロスの輪の如く、何度も世界を再生しては破壊するもの。

まさに神とも言うべき存在。


人々は恐れた。

これが本当のことであるのなら、次に壊されるのは自分たちなのだ。


彼らは自分たちの持てる力全てを使い、始祖の竜の出現に備えた。

人工的に竜に対抗しうる存在を生み出し、訓練し、戦わせ。


それが安定した頃、初めて竜の存在が確認された。


それらは竜と戦い、多大な被害を残しながらも竜を屠り、そして何体かが生き残った。

人間は更なる力を求め、生き残った個体から更に新しい個体を作り上げた。


その数は徐々に増え、しかし人に逆らうことも、前線に出るのを嫌がることもなく竜を狩り続ける。

なぜならそれが彼らの生きる意味であるからだ。

始祖の竜は現れない。

けれども、竜の数は増えている。

人々は予感を抱いていた。

近い未来、始祖の竜は姿を現すだろう。

我々はそれまでに竜を屠る存在を生み出しておかねばならない、と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る