第16話 さよならの代わりに

今日は唐沢さんのお誕生日です。昨夜0時からの配信とのことだったので、配信が始まるとルームへ入り、直ぐにお誕生日限定ギフトを投げました。


無視されるかもしれない。いやたぶん無視されるだろう、と思っていました。それでも良かったのです。今までの感謝の気持ちを最後にギフトで送りたかったのです。唐沢さんは欲しくないでしょうけど、私のケジメとして投げました。


案の定、順番にコメントを読みながら、私のギフトもコメント欄に表示されるのですが、飛ばされました。


やっぱりね。


そう思っていると「あれ?なんかコメントが読み込めない」とか言い出しました。そして顔出ししていたのに、ラジオに切り替えて「最初の方のコメントが見えなくなってる。あ、今日誕生日なのも忘れてました。ギフトありがとうございます。さっちゃんもケーキのギフトくれてますね」


また始まったか小芝居が。


「なんで見えないのかな?またバーチャルのせいで不具合ですかね?」


(いや見えるでしょ。今日は不具合ないようにサーバーちゃんとしてますよ)


心配しなくても、なんでTwitterブロックしたのとかコメントしませんよ。お誕生日おめでとうございます。ほんの感謝の気持ちです。それだけをコメントしてるだけでしょ。


「コメントが最新のしか見えないんですよねぇ。なんでだろ」


そんなわけねぇだろ!


いろんな疑惑が確信に変わった瞬間でもあった。


この人はこういう人なのだ。


心配しなくてもすぐに退室しますから!


さよなら唐沢さん。ありがとう唐沢さん。これで本当にさようなら。


あざとく生きていくことも必要かもしれないけれど、いつか駄目になりますよ。人を利用してのし上がることも必要かもしれないけれど、そのうち誰も周りにいなくなりますよ。


もう既にそうではないですか?あなただけを応援している人は誰もいませんよ。何故だかかわかりますか?人は馬鹿ではないからです。


いつでも私はあなたの味方でしたよ。そんな人をブロックして捨てるのですか?


ほら、またひとり倉田さんのルームの人になってしまいましたね。倉田さんも計算高いところありますが、あなたよりは思いやりもあり、やはり楽しく、人を引き寄せるものを持っています。あなたは倉田さんのことを利用していますよね。


ごめんなさいね。イベントの1位はゆうきくんがもらいます!私が1位にさせてみせます!現に私がゆうきくんの応援に行ってからゆうきくんは1位です。


ゆうきくんからも、さっちゃんが来てくれたから1位になれたと言ってもらえてます。


私に力がなくても、私はそういうものを持つ人間なのです。


それは、あの久保田くんも言っていました「さっちゃんが星投げ頑張ってるから、みんなも頑張ろうって思ってくれてるんだよ」と。


私はリアルでもそうなんです。私が居る場所は不思議と盛り上がります。


どんな場所でも。学校でも、職場でも、病院でもそうなのです。


私はいつでも全力です。そして周りを見ています。感謝します。挨拶します。人を笑わせます。


あなたのように計算だけでは駄目なのですよ。


良いお誕生日を!

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