第7話
ハイティーの時間になり、私とフォールズさんはいつものダイニングルームで食事をする。私が『作戦』を練っているので会話は少なかった。
一体どこから抜け出す事が出来るだろう。窓から出れば物音が大きくなるし、玄関から出るには鍵がいる。
「何か考え事でも」
「え?」
「ずっと難しい顔をしていたから」
違和感を感じたのか、フォールズさんは不思議そうに尋ねた。
私はハッとして空になった紅茶のカップに触れる。
「いいえ、ボーっとしていただけです。…紅茶のお代わりを頂いても?」
咄嗟にそう言うと、フォールズさんは「わかりました」とだけ返事をして席を立つと、キッチンへ向かった。
その隙に私はハンガーラックにゆっくりと手を伸ばし、フォールズさんのコートポケットを探る。この冷たくて硬い感触は間違いなく玄関の鍵だ。
キッチンから足音が聞こえて、私は何もなかったかの様に椅子へ戻り、ポットを持ってきたフォールズさんを笑顔で出迎えた。
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