第5話

翌朝、私は目が覚めるとすぐベッドから起き上がり、壁を伝って歩こうとしていた。まだ足は痛むけれど、昨日ほどじゃないし、いつまでもフォールズさんを頼る訳にはいかない。


息を切らしながら、何とかドアを開けて階段近くまで来ると、一階に居たフォールズさんと目が合った。私の様子を見に来てくれていたらしい。


「どうしました?」


「おはようございます、フォールズさん。手紙を出しに行こうと思って」


「…ちょっと待って下さい。案内しますから」


「いいの、自分一人で出来ます」


その言葉を聞いて、フォールズさんは呆れた表情を浮かべながら車椅子を持ってきた。階段を無理に降りて怪我を悪化させるのも嫌なので、私は渋々彼に従う事にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る