第4話

何気ない会話と食事を終えて、私は車椅子の動かし方を練習しようと思い、外へ出た。

庭のあちこちに花や植物が植えられているがあまり手入れされていない様で、雑草が生い茂っている。植物好きな女性は多いから、ここは奥さんが管理していたのかもしれない。二ヶ月も放っておけばこうなるだろう。


何かできる事は無いかと、雑草に隠れていた如雨露を持って井戸へ行く。水をたっぷり入れてから振り返ると、フォールズさんが立っていた。


「あら。御機嫌よう、フォールズさん」


「プレンダーガストさん。…何処に行ったのかと心配しました」


「このくらい大丈夫ですよ」


「また怪我をしたらどうするんです」


「もう、お医者様って心配症ですわね。車椅子なんだから遠くには行けないわ」


「兎に角、はしゃぎ回るのは脚が治ってからにして下さい。車椅子だと危険だ」


車椅子を押され、如雨露を庭へ置いて家の玄関口に戻る。

家の中に入るとフォールズさんは予備鈴を持ってきて、私に手渡した。


「馬車を直すので庭に居ます。何かあったらこれを鳴らして下さい」


「有難うフォールズさん。使わせて頂きます」


フォールズさんが庭へ行ってしまった後、私は手紙を書く事にした。ウィンダミアへ来る事が出来なかった父と母宛てに。

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