第66回:テーマ『橋』
タイトル:その闇、見逃すに限る。
僕の通学路は幹線道路の陸橋の下を潜らなければならない。
中学を南側から通学する生徒はみんなそうだ。
その陸橋の下の薄暗く湿った壁は歴代の生徒たちの落書きがされてきた。
夜露死苦なんてありきたりなものから、誰かと誰かの相合い傘、そして、匿名の願い事だ。
これは細やかな迷信で、1週間消えなければ叶うとか、ルールもなんだかふわっとしたものだ。
部活の片付けが長引き、今日はひとりで帰ることになった。
薄暗い高架下の轟音と湿っぽさは夏の気持ち悪さを助長する。
帰路を急いでる。僕はふと、目をやる。
いつもはその文字に気も留めないくせに。
「未来の君が気づいてくれますように」
ちょうど日付けは1週間前のものだった。
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