タイトル:スイカの花

スイカを食べた。

私が買ってきて、君の家で、君が切ったスイカを食べた。季節は春だ。高かったけれど、それでもスーパーにスイカはある。窓から桜の花びらが舞うのを眺める。

単なる遊びだった。新年度を迎え君の異動通達があった。それだけでこの関係は終わる。

やっぱりスイカは夏だな、の一言のあと、また君は荷物を段ボールに詰めている。何回か振り返ったあと、空の皿に気がついて少し驚く。

｢種も食べたの？おなかでスイカの芽が出るよ｣

｢スイカの花ってキレイだよね｣

だって、スイカの種が芽吹いたら、私の中でまだ君は終わらないよ。君への気持ちがいつか咲く。

なんて、言えたらいいのに。言葉は胃の中の種と共に。

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