相手の作戦

 戦線の突破はかなりおこっているらしく、防具修復後ひっきりなしに侵入が続いた。


「はぁぁあっっ!!」


精一杯の気迫を込めてツルハシを何度振ったがわからないが、10体目の相手を倒したところで疲労がピークに達した。


「はぁ…はぁ……げほっ…こんなに抜かれるって…戦線でなにがおこってるんだ…」


カストルフさんやマリーナ姐さん、ジーン先輩など強い氷鉱夫が氷壁付近、隣の国との接触部分にはいるはずなので、そう易々とぬかれるわけはない。


 何か起こっていると考えるのは容易い。まだ最初のツララザードから20分とたっていなかった。


「こりゃツドラルたちの方も心配だな…内部を守ってる俺たちが若干ピンチになるのは相当だぜ」


「なぁクリヤ…斥候部隊は相手の戦力どんくらいって分析してるんだ?」


「多分400はくだらないと思う…倉庫に守護者たちは待機してたしかなり広い倉庫っぽいし」


「400っても国にまばらに攻めてきてるんだろ?昨日も相当倒してる…数も少なくなってきてるはず…何でこんなに戦線が抜かれてるんだ?」



氷壁近くの戦闘の場は約10個。一つに相手が40としても2日目始まってすでに10体も抜かれて国の内部にはいるのは妙だ。  


「またマジックアイスみたいなワープか?でもそんな能力ざらにいるもんじゃ…」


 理由を考えているとまた広場に守護者が入ってくる音が聞こえてくる。考えを中断し、俺は臨戦態勢に入った。


 ツララガン一体、グレンさん、クリヤとなら問題なく倒せるだろう。


 実際問題なく倒すことはできた。しかしまた分からないことが増えた。


「射程攻撃が得意なツララガンがなんで戦線を突破できたんだ?」


 俺はすこし俯いて顎に手を当てて考えた。戦線が突破できるようなのは機動力、攻撃力が高い近接格闘系の守護者だ。


 射程を生かし弾幕をはるツララガンがどう戦線を突破し、内部に入るのか想像がつかなかった。


「一体どうやって…ん?」


 顔を上げてツララガンやツララザードのきた方向を見ると遠くになにかきらっと輝くものが見えた気がした。


「あれは…透明な…壁か?」


 ピンときた俺は近くにあったプレハブの住宅の屋根によじ登り、遠くを見た。透明で、ぱっと見では視認できない壁のようなものが俺たちを囲っている。


 その透明の壁の外側に氷壁近くの戦線の氷鉱夫たちが戦っているのが見えた。


「…まじかよ!グレンさん、クリヤ!俺たち内部の氷鉱夫は閉じ込められてる!」


そう俺が伝えるとグレンさんが見張りを止め、俺の隣、屋根の上に飛んできた。さらっと3メートル以上飛んでる気がする。


 グレンさんも遠くを見渡し、そのあとなにか探しているように見えた。


「なに探してるのグレンさん」


「こんな国の中心部囲むでかいバリヤはクリスタ一体じゃ貼れない…2体以上いるはずだ。そしてそして2体以上で張ってるなら…あった!あそこだ、スキマだ.。しかし人が通過できるサイズじゃねえな…」




グレンさんが差す方にはうっすらとしか見えないがバリヤとバリヤの隙間が見える。二体以上

のクリスタがおそらく張っているバリヤーなのでぴったりとスキマなくは難しいのだろう。


しかしそのスキマはわずかで、守護者が入ってこれるようなサイズではない。しかし俺はたまたま昨日見たものを思い出した。


「スキマ…わかったぞ!小さくするツルハシだ!」


「なんだそれ?マイン」


「小さくするツルハシがあったんだよ!昨日!相手が撤退する時に使ってたんだけど…それを国の内部制圧のために隠密潜入に使ってんだ!」


 カゲトが使っていた小さくするツルハシなら国内内部まで気づかれずに守護者が入ってこれる。そのためにバリヤーのスキマを使っているのだ。そして内部自体を隔離することでツララ塔や資源保管庫を攻撃するつもりなのだ。

 

 しかし俺は相手の作戦に気づくことができたが、対策が思いつかなかった。内部にいる氷鉱夫はおそらく10人にも満たない。


 たがグレンさんは少し考えたあと俺の背中をポンと叩いて言った。



「そうか…サンキューマイン、まずツドラルたちと合流だ!相手のやりたいことがわかれば対応できる!」


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