作戦開始

 バリヤーの中は氷鉱夫が入れず、入ってこれるのは相手のみという状況で国内内部に隔離された俺たちはツドラルさんたちと一旦合流した。


「なるほど…バリヤーで国内内部…重要機関や資源保管庫のあるところを隔離し、氷鉱夫が入ってこれないようにした。そしてその隙に資源などを取るつもりか」


ツドラルさんは通信機にスイッチを入れ何か喋りかける。しかし相手からの反応はなかった。


「氷の壁付近の戦線への通信もダメか…ならツララ塔に直接…」


今度は繋がったようだ。おそらく隔離されている内部同士だからだろう。ツドラルさんはバリヤーのことを伝えると通信機をしまった。


「まずこのバリヤーをどうにかしないことには氷鉱夫たちを外から呼ぶこともできない。しかしバリヤーを出しているクリスタに対し戦力を向かわせればすでに内部に入っている相手にやられる…」


「…グレンさんとツドラルさんならタイマンでクリスタたちと戦えるんじゃないですか?」


 俺は意を決してそう言った。しかしこの提案はとてつもないリスクを伴う。


「確かにそうだが…そうすると内部に入ってきた相手とはマインたちで戦うのか?4人で重要施設や資源保管庫を守れるか?」


 相手の力は未知数、そしてグレンさんとツドラルさんがいない中守り切る。それは素手で氷の壁を削るぐらい難しい。


 しかしうまくいけばバリヤーを素早くとき、氷鉱夫を内部に戻すことができる。


「私はマインに賛成です…ツララ塔や、資源保管庫…守り切って見せます」


ミルは俺の横にずいっと出てきてそう言い放つ。ツドラルさんは眉をぴくりと動かした。


 するとノルダ、クリヤも続けて賛成。それを見てツドラルさんはしばらく考えこむ仕草をする。腹を決め兼ねているようだ。


「いいじゃねえかツドラル、任せてみようぜ」


「だがグレン…トップクラスの採掘氷場と斥候部隊の一員とはいえルーキーだぞ」


「平気です!それに俺たちもうルーキーでいる気はありません!人を守れる氷鉱夫です!」


 俺は力を込めてそう言いツドラルさんと向き合った。すこしため息をつき、ツドラルさんは意を決したみたいだ。


「わかった…マインとミルで重要機関のあるツララ塔にくる相手、クリヤとノルダで資源保管庫だ」


 「はい!」

 

相手の侵入が止んだ瞬間を狙って俺たち4人は次なる戦闘への準備を始める。防具は修復済み、ツルハシも傷はない。


 すこし食料も腰のポーチに詰めて俺はミルと組んで広場の入り口に待機した。いくつかある広場の入り口から今から向かう目的地に1番近い入り口の近くに2人1組ごとだ。


 離れて出撃の機会をうかがうツドラルさんはまだこちらを心配そうに見ていた。



 平気です、とメッセージを込めた目線を返す。そうするとツドラルさんはクリヤ、ノルダのくみにアドバイスをしにいったように見えた。  


 するといきなりグレンさんが隣に現れた。相変わらず移動のスピードが早すぎる。


「おい、マインにミル。アドバイスだ」


「な、なに?」


「ツララ塔はかなり丈夫だ守護者2、3体のブレスや爪なら傷はつかないから多少攻撃に集中してもいい」


「へ?どういう…」

 それだけいうとグレンさんはツドラルさんのところまで戻り広場の反対の入り口に立った。



 グレンさんツドラルさんはスピード重視だ。早くバリヤーをとき、増援を呼ぶことで内部の相手をする。


 俺たち18歳組は重要施設の防御、いわゆる耐久戦だ。


「これよりバリヤー解除ならびにツララ塔、資源保管庫防御作戦を開始する!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る