作戦

「いやいや多い多い!!」


「そろそろ夜…!もう少しだ」


グレン、ツドラルと言うトップクラスの氷鉱夫はツララ塔と隣の国ヒョウとの境界の中点で戦線を抜けてきた相手と戦闘をしていた。この辺りは避難の住んだ商店街の入り口あたりで、少し下がれば入り組んだ街の中であり迎撃のしやすい場所だ。


 2人は氷壁からきた相手と戦闘をする中で戦線を抜け国内に入ってきた者の相手をする。


「どんだけ抜かれてるんだよどこの戦線も!」


「カストルフのところから4体、他から各20体だな」


カストルフは指揮能力と個人の実力から初動のドサクサに紛れて国内に入ってきた相手を最低限に抑えていた。 


「なんか奢ってやろうかなカストルフに」


グレン、ツドラルがツルハシを振るうごとに突風のような音が響く。そして相手が着実に減ってゆく。鉱技はツルハシと体力が少なからず消耗するため2人は継戦を重視して温存していた。


「明日はもっと増えるぞ、相手も戦力がまだ残ってるからな」


「マジかよ…明日の朝早くのうちにどっかから応援呼ぼうぜ、ツドラル」


「そうだな…」


2人は軽口を叩いているが戦闘中だ。しかも同時に10体以上相手していた。2人の攻撃は鋭く早く重いもので並大抵の相手では歯が立たない。



 侵入してきた約100体と1日かけてじっくり戦闘をしたグレン、ツドラルは敵地で夜戦を仕掛けてこないとよんでその場にテントを貼る。



テントは2人で使っても十分な広さの高級品だ。そこで明日の作戦を固めるのだ。


「相手もこちらの戦力が大体わかっただろう、明日は本腰入れてくるぞ」


「つまり戦線抜かれて国内にくるのも多くなるってわけだ、やっぱり誰かもう少し内側に呼んだ方がいいぜ」


「そうだな…しかし隣の国との境界や氷壁付近の戦力を削りすぎてもそこがピンチになる…」


ツドラルはすこしテントの壁を見つめて考えてから通信機を手に取った。ダイヤルを合わせ、繋がったのを確認しツドラルは話し始める。


「ツララ塔本部…こちらツドラル。1日目の戦闘は完了…各戦線の状況を教えてくれ」


ツドラルはメモとペンを用意し肩と耳で通信機を挟み情報を書き取っていく。


「こちら本部…ツドラルへ。カストルフ率いる隣の国との境界部分では相手勢力、流氷の押し返しに成功。他はクリスタによる隔離バリヤーで氷鉱夫が行動不能にされる事態が確認されている」


「やたら戦線が抜かれたのはソレか…少人数での戦闘を強いられて撃ち漏らしが生じたのか…」


グレンもメモを取り動かせる氷鉱夫を書き出していく。


「しかし1日目夜の今、ほとんど相手は撤退している」


「なるほどありがとうツララ塔…」


ツドラルは次の相手の手を考えていた。隔離バリヤーを警戒して氷鉱夫を散らして配置すると今度は戦線を抜かれる可能性が高くなる。かと言って一塊だと二の舞だ。


「ツララ塔…各戦線に伝えてくれ…氷鉱夫を今日より明日は散らして配置…必要なら密集形態を取っても構わない…しかし内部に攻撃が来るのを警戒して…どこかから俺たちの方へ4、5人寄越してくれ、夜のうちにだ…以上…」


 ツドラルは隔離バリヤーを脅威として密集を避けた。しかしソレで戦線を抜かれるのを見越して予め内部で迎え撃とうと言うのだ。


 ツドラルはメモを見返して通信をきると簡易的なベッドに横たわった。ため息をつき、目を瞑り再び思考を始めた。今回の戦闘の指揮を任された以上グレンと共に勝利を掴み取るための作戦を常に考えるのだ。


「さぁ…どう仕掛けてくる?」

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