4人で
「突風!バースト!!」
「電光石火!!」
ミルの突風はバリヤーを吹き飛ばしそれは破片と化す。降り注ぐ破片を掻い潜り俺は推進力を発動したことによるスピードで最短で攻撃をする。
ツルハシはクリスタの奥まで響くような音を立ててヒットするも衝撃で俺の腕にも痛みが走った。
かなりのダメージと思われたがクリスタの力はまだ残っているようで、グッと拳を握って俺に狙いをつけた。
ここで防御をしていたらカゲトがツルハシをとり再びクリスタを治癒もしくはパワーアップしてしまう。
「カウンター!!氷鉱夫体術ビートアタック!」
とっさにツルハシの推進力を発動し腕を振るう。そのツルハシは放たれたクリスタの拳に鉄を打つような音を立てて当たった。ツルハシで迎撃しなかったら俺は砲弾に打たれたような衝撃に襲われていただろう。
そして衝撃はビートアタックにより強化されクリスタの拳から体に伝播していく。
「ギリギリだった…」
打った後の俺はその場にへたり込む。同時にクリスタは倒れ氷鉱夫からの歓声が上がる。
「ひやひやさせますねマイン」
「でも勝っただろ」
ミルの手を借りてその場から立ちあがると、目の前にこちらを睨むカゲトが目に入った。
相手の戦力は鎧を着込むカゲトのみ、こちらは氷鉱夫が多く残っていた。
カゲトは通信機で何やら話し始めた。
「こちらカゲト…クリスタ、マジックアイス戦闘不能…ハイ…俺の責任です…」
カゲトは通信を切ってツルハシを収めるとため息をついた。
「ここは俺の負けだ…だがな…俺たちは負けてない」
カゲトはもう一つ白いツルハシを取り出すと倒れたマジックアイス、クリスタを小さくし、カゴに入れた。
「小さくするツルハシ…?」
見たことのないツルハシに小さくされたことに氷鉱夫が戸惑ううちにカゲトは氷の壁の向こう、隣の国の方へと撤退していく。
それを見た俺とミルはその場に座り込む。同時にため息をつくとノルダとクリヤもかけてやってくる。
「おつかれー!」
クリヤがミルに飛びついて笑顔でそう言った。
「ちょ…今疲れてるから…」
俺はノルダがグーにした手をニコッとして突き出してくるのを見てそれにコツンと合わせた。
戦闘の後片付け、怪我人の治療などをしているとあたりは薄暗くなってきた。氷鉱夫はしばらく敵は来ないという考えからテントに戻ることになった。しかし俺、ミル、ノルダとクリヤは男女テントの前で見張りを兼ねておしゃべりをしていた。
戦闘中は戦闘中なので緊張感がないと思われるかもしれないがやはりともに戦った仲間とは氷鉱夫としてだけでなく仲良くしたいのだ。
「そういやミルとクリヤは知り合いだったんだな?」
クリヤは眉をピクッと動かすとミルの方をパンパン叩きながら話し始めた。ミルはなんか微妙な顔だ。
「そうそう!ミルが10歳でカフェリア地区にスカウトされるじゃん?私は10歳の頃斥部隊にスカウトされたの、で!ツララ塔でちょくちょく会ってたんだよねー」
「そうですね…斥候部隊にしては元気だな、と思いましたね」
確かに氷鉱夫斥候は流氷や隣の国の発見をしても捕まったら意味がない。目立たないようにするのが大切だ。
「いやいや、ツルハシも透明化で?斥候の時目立たなくして?アイデンティティの危機だね、私が物静かだったら」
クリヤはふふん、と鼻を鳴らして自慢げに言う。
「まぁ…そういうところ好きですよ」
その夜はジーン先輩が早く寝なさい、と呼びにくるまで楽しい語らいが続いた。
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