加速
クリスタはオーラに包まれその角ばった体を隼のような速度で動かしてこちらに体当たりを、仕掛けてきた。ほとんどの氷鉱夫は反応できず吹き飛ばされてしまう。
「なっ!?速度が変わった!」
「あのツルハシの鉱技っぽい!」
カゲトがツルハシを当てた途端二体のクリスタは圧倒的な速度を手に入れた。ただでさえバリヤーを貼れることにより防御力が高いのでさらなる脅威となるに違いなかった。
「うわっ!….危ないな…でもなんで隔離していたバリヤーをといたんだ?」
「多分氷鉱夫を隔離するレベルのバリヤーは攻撃しながらじゃ発動できないんじゃない?」
確かにノルダの推理は的を得ているだろう。パワーアップにより行動力を得たが隔離バリヤーの併発はできない。そしてカゲトは隔離をとき氷鉱夫の数が元に戻ってもクリスタのパワーアップがメリットになると考えたらしい。
クリスタの姿が俺の真後ろに現れた。ツルハシを背中にやってガードを試みるも、クリスタの固く強い拳によって容易に弾き飛ばされた。
いくつかバウンドし氷壁に叩きつけられる。内臓が出てきそうな感覚だがまだ動ける。グレンさんに買ってもらった防具のおかげだ。
「げほっ…早すぎる…どうすりゃ」
ふと閃いた。ツルハシの鉱技でパワーアップしているのならカゲトのツルハシを手放させればいい。そう考えるとまっすぐカゲトまで走った。
「おりゃぁっ!!」
カゲトは身を翻して俺がツルハシに伸ばした手をかわしてしまう。
「なるほど…ツルハシ自体を手放させようと…?」
「そうだ!」
「そんな暇が有ればいいな…」
カゲトの言葉を聞くや否や横からクリスタのブレスが視界に入った。熱線を体をかがめて避ける。しかしその隙にカゲトはクリスタの後ろだ。
「……そうだ!ミル、ちょっとこっち!!」
「はい?」
ミルが駆けつけるが何が何やらという顔だ。俺はミルに作戦を耳打ちしすぐさま行動に移した。
クリスタ二体のパワーアップ要因であるツルハシを持つカゲトの前にはクリスタがいてカゲトに近づけない。ならば反応できないほど早く通り抜ければいい。
「行きます、マイン!!」
ミルは俺の背中に向けて突風攻撃を放つ。いつものように巻き上げるような風ではなく押し出すような風だ。俺はその風に背中を押されて加速する
「推進力発動!!!」
この加速に加えて俺はツルハシの推進力を発動、加速する。景色がほとんど認識できないくらいになる。見えているのはカゲトのツルハシのみ。
「はぁぁぁっ!!」
クリスタよりも早く動き、一直線に駆け抜けた俺はカゲトの真横を通り抜けた。そして俺のツルハシですれ違いざまカゲトのツルハシをひっかけた。
「なっ?!」
「手を離した!今だみんな!」
「こいつ…ツルハシを!」
弾かれたツルハシをカゲトは拾うべく動くが氷鉱夫がクリスタを倒す方が早いだろう。鉱技のとけたクリスタに氷鉱夫が接近する。
「ナイスだよー、マイン、ミル![トランスバレット]!!」
クリヤは一体のクリスタに向けて氷をツルハシで弾丸のように打ちだした。威力はないが、ツルハシの効果で弾丸は透明だ。
クリヤと同じタイミングで氷の弾を打ったジーン先輩の弾は鉱技により衝撃を付与されているのでスピードも高い。
2人の弾がクリスタを打ち、ノックバックさせる。
「ナイスだよ!」
ノルダは姿勢を低くした構えから突進する。ノックバックされたクリスタとの距離がほぼゼロになった瞬間ツルハシを振り抜いた。ノルダは無傷でクリスタの真後ろに現れる。
「…あと…一体!」
そう言ってノルダが振り返ると同時にクリスタは気絶する。
「かっこいいよ!」
「そっちも!」
ノルダはクリヤとハイタッチをする。おそらく2人は初対面だがコミュニケーション能力の高さが見て取れる。
「ミル!あと一体!俺と倒そうぜ!」
「当然!」
俺はミルと残るクリスタに互いの位置を入れ替えながら接近していく。クリスタは迎撃の仕方を迷ったようでバリヤーを広く展開する。しかし広いバリヤーは隔離とは違い、薄くもろいように見えた。
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