透明の助っ人

 「マインおひさ〜…お?ミルがいるー」


見事に足止めを決めたクリヤはあたりをキョロキョロしながらゆうゆうとこちらに歩いてきた。そしてバリヤーに囲まれた氷鉱夫たちを見て驚いた。


「ここもかい!」


クリヤはポカンとしてこちらを向いた。


「あのクリスタって相手の技だ」


バリヤーを貼る相手は相変わらぶマジックアイスの後ろにいて手が出せない。そして騎士の少年はクリスタから離れてこちらに歩いてきて、マジックアイスと並んだ。

 俺、ミル、ノルダはすぐにツルハシを構えた。


「たった4人でマジックアイスとやりあうとはな…俺はヒョウの国の氷鉱夫カゲト…この部隊のリーダーだ」


カゲトは両刃の色が違うツルハシを腰から抜いた。そして片方の刃を取り外し腰のポーチから違う刃を取り出して取り付けた。


刃の付け替えができるツルハシは見たことがなく、こちらはかなり驚かされる。


「マジックアイス、治癒だ…」

コツンとカゲトがマジックアイスにツルハシを当てるとみるみるうちにマジックアイスは元気を取り戻す。


「な、なんだあれ!鉱技か?」


「わぁ…羨ましい」


マジックアイスは治癒を施され今度は腕を伸ばして鞭のようにしならせてこちらを鞭打してくる。やはり多彩な技でこちらを翻弄する。


「よし、ワンパンしようか」


クリヤが避けながらそう言った。


「そ、そんなこと言ったって近くのさえ難しいんだぞ?」



「だってさぁ…他のところ結構攻め込まれてるんだもん」


思わずマジックアイスの攻撃から目を逸らしクリヤの方を向いた。鞭の攻撃は俺の体をかすめた。


「他のところって…」


「だからー、わりかしピンチなの!流氷の戦力約200接近、防衛ラインを下げろー!ってね。ここの戦いに時間かけてるとヤバい」


それを聞いた他の氷鉱夫は青ざめ、一層強くバリヤーを叩き始めた。他の戦闘の様子がわからない事には何も言えないが確かに相手の戦力の底が知れない以上そういうこともある。



「他のとこ…でも戦力をやろうにもここはほとんど氷鉱夫は隔離されてる…」


「他んとこもこんな感じだよ!クリスタだっけ?相手の隔離攻撃で戦力を減らされてそのままゴリ押されてんの」


クリヤが先ほど「ここもかい」と言ったわけがわかった。おそらく他のところもここにくるまで見てきたのだろう。そして他のところでもクリスタによりほとんど氷鉱夫が隔離され少人数を、強いられているらしい。


「なるほど…それでワンパン…まぁ、それは難しいですが私たちは早めに勝たないといけませんね」


戦いながらそう会話をしていく俺たちとの均衡状態に痺れを切らしのかマジックアイスは氷の刃を形成し発射しこちらを牽制してくる。ガードをするがその隙にマジックアイスは接近してくる。


 しかし近くことが難しかったのでそれは好都合だ。


「そういう事なら近づいてくんのは好都合!」

 

まずマジックアイス、そしてクリスタ二体を素早く倒す。やるべきことははっきりした。


マジックアイスの鞭のように腕を使う技は強力だがよければ隙が多い。鞭を避けながら俺とノルダは相手へと近づいていく。


 当然ワープが発動されマジックアイスは俺とノルダの後方10メートルほどに再出現した。


「今だミル!」


 溜めていた力の一部をバーストさせるだけでミルの鉱技の威力は兵器レベルとなる。ミルの攻撃による突風がマジックアイスを吹き飛ばした。ワープするところがどこだろうが範囲攻撃なら捕らえられる。

 

 風に煽られ狙いをつけにくいがそこをノルダが的確に技を飛ばし狙い撃つ。飛ばされた刃の当たったマジックアイスはそのまま倒れ込んだ。


 そしてミル、ノルダとともに次なる相手クリスタへと向かい合う。クリスタと共にたつ相手の国ヒョウの少年カゲトは苦いものを飲んだような表情だ。


「他を隔離し4人なら倒せるという認識は改めたほうがいいな…」


「いや?帰った方がいいよ」


次の瞬間透明化を解除して突然現れたように見えるクリヤがカゲトを取り押さえた。足音、足跡といったものをのこざず接近できるのは斥候部隊のなせる技だ。




「….……仕方ない」


カゲトはそう呟くとクリヤの抑える手を力強く少しずつはがしはじめる。クリヤはあまりの力に驚きその手を強める。


「ちょっ…強っ」


「目的のため…ここで止まるわけにはいかない!」


一気に力を入れてカゲトは立ち上がった。クリヤは弾き飛ばされてしまう。俺たちはクリヤの元へ駆けつけ手を貸して立ち上がらせた。


「平気か?」


「うん…鎧着てるから組み伏せれば私でもいけるとは思ったんだけどな…」



鎧を着ながらそんなことをするのは相当力が強い考えられる。俺たちは一層警戒を強めツルハシをかまえる。


 するとクリスタはバリヤーをといた。氷鉱夫たちはバリヤーを叩いていたので前のめり倒れ込んだ。しかし戦闘に参加できるようになり氷鉱夫が俺たちのもとへと駆けつけクリスタ二体、カゲトに立ち向かった。


「バリヤーをといた!?」


「どういうこと?」


カゲトはニヤリと笑いツルハシの刃を再び付け替えた。今度はオレンジ色のツルハシで先が尖っていない。コツンとそれをクリスタに当てるとクリスタは不思議なオーラに包まれ気配がかわった。


「ヒョウの国の力を見せてやる…!」



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