それぞれの
ツルハシで技を発動すると何かに押されているようにツルハシが動く。そう言った力のようだ。パワー、スピード共に使いこなせれば格段にレベルアップするだろう。
ここからだ。この一つの技で工夫していかなくてはいけない。一月、色いろ試していく。
しばらくツルハシで技を使って特訓していると隣から隣から何かに硬いものが衝突したような音が聞こえてきた。そちらをみるとジーン先輩がツルハシを振り抜いた姿勢でいた。
「すっご!なんすかその技⁈」
「氷塊を弾にして、衝撃をくっつけてみたんだ。氷の弾丸だよ」
俺は感心した。一つの技で工夫して戦うという見本を見た気がしたのだ。俺は頭を捻った、推進力、推進力…思いつかない…氷鉱夫体術を組み合わせるのはどうだろう。壁走り、ビートアタック…手札はあるが噛み合わない気がした。
しかしふと思いつく、振っていて気づいたが自分でキャンセルするまで手に握っている限りはツルハシの推進はコントロールできる。ということは…。
俺は氷壁に向かって走り出した。まず氷鉱夫体術壁走りを発動する。靴を水で濡らし、壁に凍った力を利用してくっつく。パキッと音がして壁に吸着、足が冷たいが成功した。そこから推進をフルパワーで発動した。
「うわぁぁぁぁっっ!バランス…バランスを取れっ!」
一旦壁にくっつけばツルハシの推進スピードを利用して壁を走れる。ツルハシに振られなければいける。ジーン先輩は感心したようにこちらを見つめていた。そして俺はジャス地区第3の右から左まで壁を一気に駆け抜けることができだ。
これをモノにすれば足場があればどこだって走ることができる。つまり戦術が広がる。
「やったぜ!見ました先輩⁈」
「すごいよ、マイン!さぁもっと精度と技の種類、技術を鍛えよう!」
****
カフェリア地区の作業を完了させたミルは走り込みに精を出していた。体力をあげれば突風をもっと発動できる、そう言った考えだ。もちろん突風以外の単純にパワーをツルハシに集中させた技も鍛えている。ミルは白い息を吐くたびに自分が強くなっているような気がしていた。
カフェリア地区を走って控え室に戻ったミルは一口水を飲み、椅子に座った。もっとやりたいが、仲間にオーバーワークを注意されたことを思い出したのだ。
「はぁ…一人だと流石に寂しいですね」
ミルは控え室を見渡す。カイさんがいつも使っているカップは伏せられていた。いつもいるカイさんやその他の先輩はツララ塔で泊まりがけの仕事している。カフェリア地区だけでなく他の氷鉱夫も先輩が仕事で抜けて寂しがっているだろうか。そんなことを考えてミルは休憩を終了して控え室のドアを開けた。
心地よい冷たい風が肌を撫で、後方へと進む。ミルはそれを感じて伸びをして、特訓をまた始めた。ツルハシを振りフォームを確認していく。ゆっくり呼吸をして、今度は技を発動する。力を体からツルハシに流し込み貯めるイメージ、ツルハシが満タンになったらそれを振り放つ。そうすると空気がうねり、風がなる。殆どの相手はこれで足止めしたり、弱らせたりできた。だがミルはこれで満足はしていなかった。
「射程攻撃は十分…近接に移りますか」
ミルはニヤリと笑った。マインとノルダを次会った時びっくりさせてやろう、そんな思いがよぎったのだ。
****
マイン、ミルと同じようにトップクラスを目指すノルダは近くの採掘氷場を訪ねてツルハシに特殊なコーティングをしてする模擬戦を行なっていた。氷鉱夫はツララガン、コオリドラゴンより、細かい動きをするから反応速度を上げるのにぴったりだ。
「はぁっ!…はぁ…はぁ…ありがとうございました!」
ノルダはツルハシを担いでペマこりとすると、走ってその場を後にする。あまりのバイタリティに相手をした氷鉱夫は驚いている。
ノルダが採掘氷場に戻るとツドラルがいつも使っている手作り特訓施設の前に立つ。その施設は一種のアトラクションのような見た目だ。四方から来る紐についたタイヤを防御し、タイヤが跳ね返ってしまう前にツルハシで2発入れるというモノだ。攻防の隙をなくすために使う施設であった。
「今日こそ攻略してやる!」
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