斥候部隊
ツララ塔の氷鉱夫本部、そこは掘り出したものの売り出し、氷鉱夫のサポート、戦闘の記録など多様な職務をしている。職務の一つに氷鉱夫斥候部隊の派遣がある。このまま氷の壁を掘っていても安全か、どんな品物が埋まっているかを確認する。
先日その部隊はこのままだと隣国と接触する、そしてその国は流氷と手を組むことを調べて報告した。氷の壁が開通するまで約15日、氷鉱夫斥候部隊は隣国の内情を調査する任務についていた。
「隊長…こちらクリヤ、隣国の氷壁の最先端まで到達しました。双眼鏡で観察をはじめる」
胸当て、膝当て背中にツルハシとフル装備の斥候少女クリヤは匍匐前進で氷の上を進み隣国の氷壁の上から国内を観察する。肩までほどの美しい白い毛髪が氷についてしまうもの気にしない。通信機でつながる隊長はあたりの探索、監視をしていた。
「了解だクリヤ。相手に見つかるなよ」
「ふふ、そんなことしませんよ」
ニヤリと笑いクリヤが双眼鏡に目をくっつける。そして見えたものを報告している。こちらの国と違うて氷壁の最先端から向こうの端が見えない、かなり広い国だ。建物はおそらくコンクリート、産業面でもレンガの多いこちらより栄えている。人のガヤガヤした声とともに工場の稼働する音も聞こえてくる。
「へー…私たちの国よりずいぶん…あっ!あれは!」
「どうしたクリヤ!」
「奴らもツルハシ使ってますね!」
「いちいちオーバーだなお前、ツルハシね」
クリヤはもうすこし遠くを見てみる。大きな倉庫に仕切りに人が出入りしているのが見えた。クリヤは何かあると踏んで入口が見えるように角度を変えもう一度観察をする。
「流氷と手を組んだだけあってツララガンが倉庫で待機しているようですね。他にもいるでしょうが私たちにかかれば」
予想は概ね当たっていた。隣国と流氷が手を組むとなれば主戦力はツララガンやグンジョウオオタテガミ、ツララザンなどだ。そして流氷のキューブと呼ばれるサポートアイテムは工場で生産しているようだ。
クリヤは氷にぺたりとくっついて寝ながら観察しているのでだんだんと冷えてくる。さっさと観察をして帰ろうと思ったその時驚くべきものを見た。鉄の筒のような武器だ。
「あれは‥.キャノン砲⁈…いかすー」
「なるほど…キャノン砲か…カストルフさんの報告にもあったな…数は?見えてる分だけでいい」
「20」
「2倍はあると考えていいな…よしわかったおつかれ、戻ってこいクリヤ」
隊長はクリヤの腰くくりつけた紐を引っ張った。すると氷を滑って寝たまま隊長の元へと帰ってくる。ペンギンのように滑ってきたクリヤは隊長にいう。
「ふん…荒っぽいですね」
」
クリヤと隊長は氷の上で隣国の情報の確認を始める。撮った写真、メモからツララ塔に報告する情報をまとめる。
氷の上は冷たいが、早いところ情報はまとめてしまうのがいいのだ。冷風が吹き細身のクリヤは思わずブルっと震える。隊長が写真を眺めているとクリヤが暖を取ろうとマッチをするが失敗しているのがわかった。
「何やってるクリヤ」
「こいつが着かんのですよ。どうしたんでしょう」
隊長がかわりにすってやると小さな火が現れる。アルコールランプにそれをつけると早速手を近づけるクリヤ。真下や四方の青い氷と対照的なオレンジの火はクリヤの体を温める。
「やりますね隊長」
「わかったわかった。よし、資料は十分まとまった、戻るぞ」
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