7月

7月 テスト勉強会①

季節はだんだんと夏に近づいているのだろうか、最近朝起きるのがものすごくだるく感じる。


しかし、一馬の朝はとても忙しいのだ。寝起きの悪い結月を無理やり叩き起し、朝ごはんを二人分作り、本来やるべきではない結月の弁当を作りで、朝から本当に面倒をかけてくれるのだ。


「おにぃ……おはよ〜……」


起こして5分くらいしてからフラフラとしながらも結月がリビングに降りてきた。


「おはよ、朝ごはんできてるから早く準備してこい」


結月は「は~い」と言ったあと、半目しか開いていない目でフラフラしながら洗面所の方に向かって行った。



*15分後*



色々な準備(色々割愛)を済ませた結月が再びリビングにやってきた。先程のような干物のような雰囲気は綺麗サッパリ無くなり、可愛らしい1人の女子高生へと変身した。


「女の子ってやっぱりすごいな」と心で思いつつも結月に素直に述べると調子に乗りそうなので、その思いは胸の内にしまい込んでおいた。


「食べたら台所に置いておいてくれ、俺は先に行くから」


「え?今日なんかあったっけ?」


「いや、普通に今日日直なんだよ」


「そゆことか、わかったーいってらっしゃーい」


「おん、いってきます」


二言三言のみ返事をして、一馬は玄関のドアを開けて学校に向かった。



*学校へ移動*



学校に到着して教室のドアを開けるとそこにはもう今日日直の人が来ていた。


「おはよう、九条くん」


「おはよ、白川さん」


そう、先に来ていたのは沙希である。一馬がこの学校に編入して早一ヶ月、学校に早く慣れるためにという目的の沙希との朝の日直も、一応今日で最後となる。


「で、どうかしら学校の方は……と言ってももうクラスのほとんどと友達になっているわねw」


「そ、そんなことないって!白川さんに助けられたことだって沢山あったし」


少しからかい気味言う沙希に、一馬は顔を少し赤らめて否定した。


「なんでそこで私なのよ、澪や石山くん達の方があなたに貢献したでしょう」


「まぁ、そーだけど白川さんには教えてもらったこととかも多いから」


「ふ〜ん……」


体の前で腕を組み、何かを考えているような表情の沙希。


「な、なんでしょう……」


「ならさ、その恩返しにテニス部にちょっとだけ来てみない?」


一馬は沙希が何を言っているのか一瞬理解できなかったが、直ぐに正気に戻り答えた。


「なんで俺がいきなりテニス部に?足でまといだろ」


「夏休みの間だけでいいのよ、私の自主練に付き合って貰えないかしら」


「な、なんだ自主練か……」


「テニス部に入部して欲しい」ということではなかったと知り、一馬は安堵の息を漏らした。


「なんなら、そのまま入部してくれてもいいのよ?」


「遠慮しておきます!」


一馬からキッパリ断られてしまい、沙希は少し意表をつかれたような表情である。


この後も、朝の仕事をやりつつ2人で会話をしているといつの間にかチラホラとクラスメイト達が教室に入ってき始めた。時計を見ると時刻8:30分、もう時期チャイムのなりはじめる時間だ。


8:35分のチャイムがなると同時に担任の先生が教室に入ってきてホームルームが始まった。


「今日から1学期期末テスト発表だ」


「"えー!"」


クラス全員から「えー」「まじか」「最悪」などなど罵詈雑言が飛び交った。


「まぁ、そこまでブーブー言うな……テストが嫌いなのはしっかり分かったから」


担任の先生がクラスメイトを必死に宥めていると、ホームルーム終了のチャイムが鳴り先生は逃げるように教室から立ち去った。


先生が立ち去った後の教室ではテストに関する話題で持ちきりだ。その中でもダントツで凹んでいるのが1人……


「おいー、そんなに落ち込んでどうした?そんなにテストが嫌いか?」


自分の机で伏せている柊に一馬はさりげなく話しかけてみる。


「一馬おまえってやつは……」


柊が何かを言おうとしたそのとき、


「九条くん、その言葉は禁句だよ」


「そーそ、なんせクラスでブービーの人だもん」


「え?クラスだっけ、学年じゃなかった?」


横の方からクラスメイトA,Bによる柊への追い打ちがかまされた。この言葉でクラス中で笑いが巻き起こった。


「おいおい!それを言うんじゃねーよ」


笑いを断ち切るように机を軽く叩き立ち上がりながら叫んだ。その顔はまるでリンゴのようにまっ赤である。


「まあまあ、そうカリカリすんなって」


「これが黙っていられるか!ここまで派手に言うことないじゃないか!!」


本当に思っているのだろうが、柊は空気を読んでちょっとだけ面白おかしくしてくれた。そのおかげでまたクラスでは笑いが起こる、先程の沈んだ空気が嘘のように。


「くそ!こーなったら、一馬勉強会をしよう!」


「は?」


「これで絶対にブービーとは言わせないからな!!見てろよ!!」


この発言により、クラスメイトたちは柊を軽く煽りながら「せいぜい頑張んな」みたいな感じに柊を応援した。


”キーン コーン カーン コーン


柊の宣言と同時に1時限目のチャイムがなりクラスメイトたちはそれぞれ席について授業の準備を始めました。










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