第42話 女でも男でも導いた結論
健斗は体を起こしプー丸におやつをあげてから、
スマホを見た。
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頭の中にあった考えと感情は、
知らぬ間に過ぎ去っていた。
プー丸は満足気に座った健斗の膝の上で横になった。
健斗の膝がプー丸のソファーであるかのように。
今の健斗にとっては、
卓に対しての感情も過去の彼女に対しての感情も大した差はない。
同じ感情かは健斗もわかっていないが、過去の彼女に対しての感情は嘘ではない。
当時は彼女のことを大切に思っていたし、守りたいとも思っていた。
しかし、卓と過ごす時間は恋人と過ごす時間のように疲れることもなく、
自然でリラックスできることも否めない。
彼女の前で好かれようとがんばろとした健斗がいたのかもしれない。
自分が男で年上であることを無意識でも意識しすぎていたのかもしれない。
恋人が異性であるが故に男であるという役割を果たそうとし負担になっていたのかもしれない。
そして、卓のことを異性を想うように気になる存在になり、
動揺したのは事実だった。
同性だからではなく今まで何も抱いていなかった卓への感情に動揺したからだ。
しかし、健斗は卓との関係をそれ以上変化させることも、
感情を膨らませることも望まない結論に至らなかった。
つまりは、恋愛は健斗の人生のおいて重要ではないことに気づいたのだ。
友人でも恋人でも、
結局は卓が健斗にとって大切な存在であることに違いはない。
まして、離婚や振られたのように終わりのある関係でないことも知っていた。
だから、健斗は今のままでよいと答えを導いた。
恋愛対象が女でも男でも、
“恋愛”が上手にできる人間と下手な人間がいる。
健斗は、女性とはうまく関係が築けず下手な人間なのかもしれない。
佐藤の言うように本気で好きになれる相手と出会ってないだけかもしれない。
健斗が自然と一緒にいる相手がパートナのだろう。
健斗はプー丸を抱きかかえてゲージに入れて、
誰にもメッセ―ジを送ることもなくスマホを持ってベッドへ入った。
眠りにつくとき健斗の頭の中に描かれたのは明日の朝をイメージだった。
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