第40話 本気で好きな存在

「やっぱ、シノ、お前ちょっとおかしくない?

なんかあったか?」


「だよな…俺もそう思う。」

健斗はあっさりと認めた。


「何もないんだけど…

自分の気持ちがはっきりしないせいか、よくわからん。」


「ふーん、あんま気にすることないんじゃない?

答えが出るときに出るっしょ。」


「まったく解決できてませんけど?」


「俺に解決できる問題でもありませんけど?」


「ごもっともで。」

何も解決も方向性も見えなかったが、健斗は笑った。


「答え、見つかるといいな。」


「おう、ありがとう。」

と言いながら、2人はグラスを軽く当てて飲酒を再開した。


お酒を飲む卓を見ながら健斗は自分の気持ちに気づいていた。

その気持ちを受け入れるか認めるか、

どう処理するか、否定する部分も肯定する部分あり決定打がなかった。


その後、

知らぬうち健斗はプー丸の話を卓にしており、止まらなくなっていた。

卓は根気よく健斗の犬バカ話を聞いていた。


「かわいいんだな、プー丸ちゃん。」


「おう、めっちゃくちゃかわいい。」


「お前にとってどうしようもなく好きな存在。いるじゃん。」


「はっ!」

健斗はびっくりする顔を素直に出した。

「本当じゃん。いたわ…一番、近くに。」


「プー丸ちゃん、大切にされてんな。」


「確かに、別れても追いたくなる存在だな。

失うことなんて想像できない。」

健斗はプー丸を想像したら無性に会いたくなり、

卓とプー丸が仲良くなったらいいのにと思った。

「そうだ、今度、プー丸に会ってみるか?」


「そうだな、親友としてシノの愛しの存在に挨拶しないとな。」


「おう。」

健斗は卓に再び会う口実ができたことと、

卓をプー丸に会わせることができることがうれしかった。

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