第20話 燃えつきる
どれも荒らされた部屋の写真であった。ラックやクローゼットがわやくちゃにされていたり窓ガラスが割られていたりと、散々な有り様である。ともすれば笑ってしまいそうだ。
どれも自分の部屋でなければ。
「ちょっと、私のゲームまで壊されてるじゃない」
リンリンちゃんが唐突に騒ぎだした。頭の中で騒ぐから、煩いが僕にしか聞こえてはならないはずだ。にも関わらず、美愛ちゃんにはしっかりと聞こえているそうだ。
「僕のゲームだよ」
「うるさい、はやく新しいハード買い直さないと」
「ごめんやけど、お金ないんっすわ」
過日、金欠だがどうしても酒が飲みたくなったのでゲーム機を売ろうとしたがリンリンちゃんの抵抗(痛覚への刺激)が凄まじかったため断念した。結局、文庫本を10冊売って得た金で日本酒を買った。一晩で飲み干した。
「とりあえず警察には通報しました。もう家に来られてるはずですよ。通話が止められているから迎えに来ました」
部屋では、いわゆる現場検証というものが行われていた。おじさんたちが僕の部屋を物色している。最近はリンリンちゃんに見られているから、部屋はある程度清潔に保っていたのに、努力が無になった。
色々と聞かれたが、何も答えることがなかった。
お二人が留守の間どこにいたのかと聞かれても、美愛ちゃんがどこにいたなんか知るはずがない。侵入経路も明白、指紋などは検出されず、何よりも盗られたものが無さそうなのである。
となると、空き巣ではなく僕への怨恨ではないかとのことだった。真面目そうな顔つきであり、冗談を言っているわけではないらしい。
「美愛ちゃんなら犯人が分かるんでしょ? というより、見ていたんじゃないの」
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