第16話 ローラはひとりきり
僕はもしかしたら、覚悟していたのだろう。だから、寝室に案内され、さらに服を脱ぎはじめた利亜さんにも驚かなかった。
「もう少し驚くと思った」
「ごめんなさい」
「今は、どう見える?」
「男です」
またも口づけされ、舌も入ってきた。そして小さな飴玉が喉の奥におしこまれた。咳き込むと、利亜さんは笑っていた。
ごめんごめんと利亜さんは口を大きく明けて舌を伸ばした。その意図が分からないほど馬鹿ではない。勃起したイチモツを嘗めまわされ、先端部が頬や唾液の溜まり場に触れる。射精までそう時間はかからなかった。意外だったのは自分の精液を口移しで飲まされたことだ。
翌朝、蕩けた足取りで帰宅した。
その夜から、利亜さんと連絡がつかなくなって、僕は体調を崩し始めた。
そうなってからはすぐだった。いつからか正確なところは分からない。妙な眠気に襲われたりそうでなければ異様な腹のすき具合に悩まされてばかりの日々だった。外へでれば地割れでも起きたかと錯誤するほど立ち上がることが困難で、腹がたわしで擦られたような痛みに血尿で便器を真っ赤に汚した。尿管結石だろうかと考えた。医者を呼ぼうとしたがあいにく携帯が見つからない。悶え苦しむなか乱雑な部屋を探る気力がわかない。
リンリンちゃんに意識を委ねようとしたが、この痛みで気絶したようだ。役に立たない猫だ。役に立たないから猫なのか。
なんとか隣の家の壁を叩く。体当たりといっていい。頭から何度も突き当たる。
そして、ようやく美愛ちゃんが部屋に来てくれた。そして、彼女は僕を一目みて、どこの星の人と、と呆れていた。
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