『師匠』 テーマ:北欧、ダンディでハンサムな魔法剣士
「何を寝ている、立て」
仰向けに倒れ空を見る俺の頭上で男が言った。
「そんな腰抜けだったとはな。多少なりとも剣に自信がついたと言ったがお前の自信とやらはたかがしれているな」
無精髭のこの人は俺の師匠である。
その精神と肉体は鋼、いや錬金術師の錬成したオリハルコンと言ってもいい、剣の腕は一流だ。
お師匠に鍛えられ剣に自信を持つまでに至った。そう思っていた。
実際は街のごろつき相手に意気っていただけであり、ガキ大将が自分より年下の者を虐めるのとなんら変わりは無い。
世界が周っている、剣が重い。乳酸が溜まり腕も足も鈍く、いう事を聞かない。
「それで化け物を倒すだと?魔法剣使いになりたいだと?笑わせる。そんなに冗談が上手い奴だと思わなかったな。いっそ旅芸人にでもなったらどうだ」
お師匠は剣の腕に加えて相手を挑発する事にも長けているようだ。いくら普段は温厚な俺でも腹が立つというものだ。
小鹿のような足、鶏のように忘れ、兎のように逃げ出した。
そんな自分と決別し目的を果たす為、無理を通し弟子となったのだ、絶対にお師匠を打ち負かして見せる。その思いが自分を成長させ、脚を動かし腕を持ち上げ剣を振わせた。
俺はついにお師匠を追い抜いた。地面に仰向けになっているのはお師匠の方だ。
胸に剣を突き立て、印を組み、体に入り込んだ怪物もろ共、業火によって焼いた。
こうする他なかったとお師匠は言う。実際それ以外の方法は思いつかなかったし、やらなければこちらがやられていた。
「えらく変わった火葬だな」
お師匠は最後にそう言って灰となり空に消えた。
あとがき
北欧とダンディさが入ってなかったですね。
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