第45話 闖入者
一応上司である部長にメールで出張の件を相談したところ、早急にスケジュールをつめて直ぐにでも行くべきだと返信があった。しかも一緒に出張して同行したそうな雰囲気だ。
案の定、返信メールには実務者のみで結構と明記されていたが、日時が明日の15時になっていた。急ぎ過ぎではあるまいか。
取り急ぎ、明日の午前の便の予約と、大した手間のない出張の準備をして札幌イーストの間引きに向かう。何やら忙しない。
「アロースタンバイ」
「
「
「
ランアンドランなのかランエンドランなのか若干迷ったがランアンドランで成功した。システムパターンは英語の様で英語じゃないので中々厄介だ。
「オイオイ。公共の場で何やってんだぁ?」
「邪魔くせぇぞオラ!」
「あ、アンタら!」
「チッ。撤収する!」
乱入してきたチンピラ風3人組に、マスターが即座に撤収の号令を発した。ルイさんは知っている人の様だ。
オロオロとしているモモカが目に入ったが、先に敵を倒してしまわねば不味い。
「アロースタンバイ」
「さいとーさんいいから走って逃げるよ!」
ルイさんに手を引かれ、ガイさんを
「はー。疲れた」
大通公園のテレビ塔のふもとに辿り着いた時にはルイさんと二人だけになってしまっていた。
「みんなは大丈夫でしょうか?」
「大丈夫よ。
「⋯⋯あの人達、知り合いなんですか?」
「あれよ。ススキノの元取巻き連中。嫌がらせにリアル介入とかバカじゃないかしら!」
とりあえず自動販売機で缶コーヒーを2本購入する。
「甘いのと甘くないの、どっちがいいです?」
「甘くないので。いただきまーす」
甘いのが残ってしまった。2本ともブラックにしておけばよかった。
「イースト攻略の情報が漏れちゃってるかもね⋯⋯」
「⋯⋯ああいう連中は面倒ですね」
「逆恨みもいいとこだわ! やり方、考えないと⋯⋯」
「そういえば明日、東京出張してきます」
「え? さいとーさんって出張あるの? 何日間?」
「はい。急に決まりまして。木曜日の間引きには戻るつもりです」
「木曜の間引きも多分中止かなー」
「そうなんですね。じゃ休暇ついでにのんびりしてきます」
「うん。そうして。何か決まったら連絡するから!」
マスクを外したルイさんはやや疲れた笑みを浮かべていたが、俺は化粧していない時の唇の色はこんな色なんだなと、どうでもいい事を考えてしまっていた。
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