第29話 知らない所で話は進む
昨日は、ベルトで打たれて楽しそうな部長がまだ居たいとの事だったので先に帰った。写真撮影NGなのが惜しい。
ルイさんからは、メッセージ無しの賃貸物件のURLだけが送られてきていた。地下鉄東豊すすきの駅出口から徒歩2分の単身用1LDKで月5.5万円のデザイナーズマンション。悪くはない。創成川公園へも徒歩で5分もかからないだろう。これにしろという事か。
今日から出社しなくても良くなったので、ノンビリ朝からサウナ水風呂3ターンだ。この入りたい時にすぐ風呂に入れる生活ができなくなるのはとても心残りだ。
10時になると早速、URLに記載されていた不動産屋を訪ねた。
「この物件を見たいんですが」
スマホを見せながら尋ねると、すんなりと内覧ができ、特に霊的に悪そうな感じもしないのでとっとと契約してしまった。霊感などはないが。
当面は布団だけあればいいだろうか。いつまた引っ越しを命じられるか分からない身分である。物は少ない方がいいいいだろう。いや洗濯機くらいは必要だろうか。
午前中をポチポチとネットショッピングで過ごし、午後からはチーム札幌イーストの間引きだ。
初めましての眼鏡っ子を拾ってから合流した方がいいだろうと、大通駅で待ち合わせをしていると小走りでやってきた眼鏡っ子。やはり、精々中学生位にしか見えない。
「お待たせしましたー!」
おい、手を振りながら来るんじゃない。周りの視線が怖い。思えば普通に創成川公園で待ち合わせれば良かったのではないか。
「お疲れ様。それじゃ行こうか」
「は、はい。今日はよろしくお願いしますっ」
並んで歩くのは今日だけだと見えない何かに言い訳しながら、一緒に創成川公園に向かう。
「えーと、ステータスは何か上げた?」
「装備も持てないし、ドロップも拾えないので⋯⋯と、とりあえずLCを16上げました!」
「なるほど。育成方針についても相談してみるといいかもな」
「はっはい。お願いしたいです!」
サムズアップしてウィンクしているガイさんが脳裏をよぎった。あのゲイ、無駄にイケメンだな。
創成川公園にはいつものメンバーが勢ぞろいしていた。
「彼女が盾職志望のモモカさん18歳です」
後ろにくっつかないで欲しい。前衛志望は前へと押し出してあげよう。
「あらぁ。可愛い子ちゃんじゃない。盾職のガイよぉ」
普段より150%増しでクネクネしておる。もしかして女の子もいけるのか?
「同じく、カオル」
「ほうほう。なーるほどー。さいとーさんタイーホ」
「札幌イーストのリーダーのルイよ。よろしくねモモちゃん」
「よ、よろしくお願いします!」
よし、役目は終わった。
「モモちゃんには、ここ創成川イースト界の主を目指してもらうから!」
⋯⋯あれ? そんな話だったっけ?
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