紹介&第一回目『金』




「どうも~!という訳で始まりました『赤村の気分転換』のコーナーで~す!」


 コラコラ。タイトルを勝手に変えるな。


「え?違うんですか?」


 いや……違わないけどもね?一応タイトルがある訳だからその辺はさ……。


「という訳で説明と自己紹介で~す!」


 無視かよ……。




「簡単に説明すると~……異世界モノが増えた現在の創作物──主にラノベ系の気になった点を上げて語る、というファンタジー作家には非常に嫌な話ですね~。勿論、『赤村雨享』という作者も滅多刺しにされる訳ですが……気にせず行きましょう」


 おい……。


「この後ろでボソボソ喋っているのが狭間の管理人さん……ていう設定の痛い人です。名前はタマゴさん」


 タマゴで~す!……痛い自覚はあるよ?


「で、私が世知辛い世の中から現実逃避してきた日本の女子高生、二次元や空想大好きの是枝ユメ(十六歳)でーす」


 女子高生の主役級だからって美少女とは限らない。


「割るぞ、タマゴ!」


 ゴメンナサイ……。


「とまぁ、この二人に異世界からのゲストを加えた意見交換みたいな感じで進める予定です。じゃあ早速今回のゲストは……」


 剣と魔法の世界の比較が多いと思うので……異世界と言ったら美少女!美少女と言ったらエルフ!ということで───獣人猫耳娘・ランちゃんに来ていただきました~。


「初めましてニャン!ランちゃんで~す……ニャン!」

「うわぁ……言わされてる感が半端ないですねぇ。てか、タマゴ!エルフの前フリは何だ!」


 キャラ分けの為だよぉ……許しておくれ?


「仕方ありませんね。タマゴは後で茹でるとして話を続けましょう。それで……今回のお題は何ですか?」


 記念すべき第一回は『金』……マネーで行きましょう。


「うわぁ……いきなり生々しいニャン」


 まぁ、そう言わないで。どこの世界でもお金は大事だよ~?


「そうですね。私もお小遣い大変ですし」


 では、異世界側の通貨事情について。



 ファンタジー世界では基本、金貨・銀貨・銅貨という区切りで登場する貨幣が一般的となりますね~。余程技術進歩した世界じゃないと現金通貨でのやり取りをしてますよね?


「そうだニャン」


 そこで疑問なのは、国家間で割と仲が悪いのに何故か金銭のやり取りが成り立つ世界ですね。ランさんの世界はどうです?


「ウチの世界はバラバラで両替が必要ニャン」


 普通、仲悪ければその両替さえも成り立ちません。余程大きな組織……それこそ世界中に影響力がある組織が管理すれば別ですけど、統一通貨が成り立つのは世界が連携している場合だけです。


「細けぇコトぁ良いんだよ」


 ま、確かにファンタジー世界にそれ言ったら話が進まない訳ですよね。


 ちゃんと設定している作家さんもいますが、大概はその辺りは緩い。原因はテレビゲームの影響かと思います。だって、ゲーム内で移動する度両替なんてやってられませんがな……。


「でもそうなると、紙幣でも良いんじゃないの?」


 紙幣は信用通貨の類いなんで問題があるのでしょう。そもそもファンタジー世界は紙が貴重な場合が多いので費用を考えれば却下されるでしょうね~。軽いし便利だけど、苦労した割にあっさり燃やされたり。偽造もしやすいので防止策も大変。劣化しない加工も大変です。


「逆に近未来モノとかは仮想通貨とかデータ化してますしね……。それでも国ごとに違いますが」


 現代技術では偽物を作りづらいのも紙幣が使われる理由ですが、ファンタジー世界に当て嵌められる中世以前などは硬貨ですら偽物はあります。


「そう言えば昔先生から聞いたような……」

「ウチらの世界には今のところ無いニャン」


 硬貨は色々な問題があります。金貨などは純度が高いと金としての価値が高い他国で溶かされてしまうとか、逆に混ぜ物が多いと国力が疑われるとかの話もありました……。


 まぁ結局は刻印の信用性が大切という話に行き着きます。ファンタジー世界ですから偽造防止の魔法があるかも知れませんけど。



 お話としてその辺りをクドクド入れるとつまらない話が増える可能性もあります。だから殆どの方はスルーでしょう。経済モノを題材にしない限りそれで良いとは思いますけどね……。



「で、タマゴさんは何が気になったんです?」


 重さかな?


「ああ~……確かに硬貨は重いですね。現実世界でも財布にジャリ銭ばかりだと嵩張るし重いし……」


 女子高生がジャリ銭て……。


「ファンタジー世界は皮袋に硬貨ですよね?どんなレートなんでしょうかね、ランちゃん?」

「え~っと……ウチのところは銅貨だけ三種類づつ、銀貨、金貨は二種類づつあるニャン。大、中、小に別けてあって、大銅貨は中銅貨二枚分の価値。小銅貨は五枚で中銅貨、十枚で大銅貨と同じ価値ニャン」


 材質違いの場合は?


「大銅貨十枚が小銀貨一枚。小銀貨十枚が大銀貨一枚、大銀貨十枚が小金貨一枚、小金貨十枚で大金貨一枚ニャン」

「うわぁ……計算がメンドイ…………」

「そうでも無いニャン。殆どの場合は銅貨しか使わないニャン」

「でも銅貨すら三種しかないのって大変そう……細かいものも価値がおかしくない?」


 その辺は大雑把なんでしょうね。現代世界ではコップと皿の材質が同じでも値段大きく違ったりしますが、異世界は同じとかあるようです。もっと雑だと交渉まとめて銅貨一枚とか……。


「食事とかもそうですよね?例えば中銅貨二枚と一枚じゃ倍違うけど、サービスが倍違うとかないでしょうし……」


 まぁ、異世界モノはぶっちゃけ無いよりは経済が回る……と判断するしか無いんですよ。じゃないと売買の関係自体が成り立たず国が廃れる。


 基本は国……というより公共が管理するものでしょう。

 現実世界の過去には他国の通貨に偽物を混ぜ信用を狂わせて弱体化させるという戦略もあります。そこまで書く作家さんは案外珍しいかな……飽くまでラノベ系で、ですが。



 話が脱線しましたが、先程述べたように違和感は『重さ』。データシステム型転生モノ等は『所持金~ゴールド』みたいなので済みますが、現物持って旅するとそうは行きません。空間収納宝具なども普通は出回ってませんし……。


 現代に例えるなら、巾着にギッチリ五百円玉入れて腰に下げれば分かります。まず動きづらい。異世界の冒険者は皆さんコレを平気でやってます。凄いですよね……。


「宵越しの金は持たねぇぜ!というやつじゃないんですか?」


 それじゃいつまでも安物装備じゃ……。


「じゃあ価値ある何かに変えて持ち歩く、とか?」


 タマゴの好きだった古いRPGに限界量の金を越えると宝石に変えるというのがありました。宝石一つで限度額一杯です。だからそれも手ではありますが、その宝石にもレートがありますから難しいですね。


「あんまり深く考えていちゃ異世界では生きて行けないニャン」


 ごもっとも……。そもそもモンスターなどを倒して金が落ちる訳はないですからねぇ。ピカピカが好きでそれを狙うようなモンスターだと、間違いなく国が介入して絶滅させるでしょうし……。


「生々しい……」


 まぁ、夢も希望も無い話になっちゃいますから今回の話は飽くまでも『冗談じみた突っ込み』と笑い話にして頂ければな、と思います。



 とまぁ……大金持ちになって袋一杯の金貨、というのがどういうものかを例えれば『バッグ一杯の札束』ですね。


 あなたはそんなモノを持って危険な旅をする勇気がありますか?


「まぁまぁ。その辺は作家さん……物語の神様達の自由ということで」


 ごもっとも。


「因みにウチらの場合は村総出での行商を兼ねるニャン。それで盗賊に襲われないよう強い人を雇うニャン。襲ってくる盗賊はみんなカモで、寧ろ儲けが増えるニャン」


 逞しい……異世界人は絶対逞しくないと生きて行けないですよねぇ。



 とまぁ今回のお題は『金』……マネーでした。



 まぁ現実世界でも未だに偽札騒ぎは起こりますし、デノミネーションをやらかして大変な国もある。国債はお金ではないですが借金には違いありません。金銭事情が不思議と安定している異世界よりマシか?と言われると微妙かも知れませんね。



「ユメは宝くじを当てて~、カッコいい彼氏を見付けて~玉の輿に乗るから平気~」

「ランは貴族の男を虜にする予定ニャン!」



 ………。


 ま、まぁ、夢を持つのは自由ですし………ね?





 

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