第16話 神剣の制作者はオネエ
「あら、ミナちゃんじゃない。おひさしぶりね」
カワイキュンと名乗るオネエに引っ張り込まれたナオヤを追って武器屋に入ると、そこではじめてミナに気づいたようだ。
カワイキュンはミナをおそれない数少ないオネエである。
そして、荒くれ者の海人族に、怪人としておそれられているオネエなのだ。
ナオヤは服を脱がされていた。
「ち、違うわよ!採寸よ!採寸!ほら、あれよ。鎧のサイズを測ってるのよ!」
カワイキュンは焦って弁解しているが、あきらかに。
「え?ここって武器屋でしょ?」
「これから扱うのよ!業務拡張よ!あら、ミナちゃん、剣が傷んでるわよ。見せてごらんなさい!」
カワイキュンは強引に話題を変えて、ミナの
「どんな化物と打ち合ったのよ。芯には問題がないけど、調整してあげるわ」
そう言うと、カワイキュンは奥の部屋に入っていった。
そこは工房になっていた。
剣が赤熱化すると、取り出して台座の上に置いた。
「フンハー!」
ハンマーを持つカワイキュンの腕が二倍に膨れ上がった。
血管の浮き上がった筋肉が収縮する。振り上げたハンマーが台座の上の
5回ほど打ち付けると、
「よしっと。よい仕上がりだわ」
「ありがとう」
ミナは
(ものすごい技術だ)
それを見たオオナムチは感心していた。
ミナの斬撃の精度が増していた。
剣を調整してもらったからだろう。
「俺のも見てもらえますか?」
「ウホッいい男!いいわよサービスしちゃうわ!」
オオナムチは、
「えっ!?これは?」
カワイキュンは剣を受け取ると、驚いて聞いた。
「ジジイにもらった剣です」
「これ、わたしが若い頃に作った剣よ。今見ると恥ずかしいけれどね」
「そうなんですか?」
ジジイが天津神アメノコヤネにもらったという剣だが、カワイキュンが制作者だという。
只者ではないオーラを出しているが、本当に只者ではないようだ。
「でも、これはもうダメね。芯がやられてるわ。わたしが打った剣をこんなにするなんて…あんたたちどんな化物と戦ったのよ?」
「サルダヒコ元帥?…だそうです」
オオナムチが答えると、カワイキュンはさらに驚いていた。
「あんたたち、よく生きてるわね。運がいいわ。わかった。その強運に免じて、代わりの剣をあげるわ。調整に少し時間がいるから、王城にでも行って王様と遊んでらっしゃい。ミナちゃん、案内してあげて!」
「行く!」
ミナについて出ようとすると、後ろからカワイキュンが声をかけてきた。
「待って。この子の手伝いは必要なの。あなたは残りなさい」
そう言って、ナオヤの手を大きなグローブのような手で熱く握った。
カワイキュンは、涙目で震えるナオヤを、さらに奥の部屋に連れて行くのだった。
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