テレビゲーム
三連休の最終日、暇をもて余したニタローは、納戸の奥からテレビゲームを引っ張り出してきた。
うっわ、なっつ、と一人で興奮しながらプレイしていると、イチヒメが後ろのソファに座った。
キッチンから持ってきた麦チョコをつまみながら、ゲーム画面を眺めている。
「なあ」
「何」
「これ見てておもしろい?」
「んー、普通」
「なんで見てるだけでやらないの?」
「わたしほとんどゲームしないから下手だし」
「そういえば、小学生ぐらいのときも、俺がゲームしてても見てるだけだった」
「うち、テレビとゲームはあわせて一日一時間までだったでしょ。ゲームしたらMステとか見れなくなるから」
「なるほど」
「Mステ見てないと女子の世界では生存すら危うい時代だった」
「そんなにか」
「男子はゲームしてないと仲間に入れなかったんじゃない」
「まあ、そうか。でも、二人で近所の友達んちに遊びに行って、そこで俺らがみんなでゲームしてるときもやってなかったよな」
「やっぱ下手だからさ、自分が場をしらけさせるの嫌だったし、あんたらがわいわい盛り上がってるのを横で眺めてんのが好きだったんだよ」
そう言うと、イチヒメは立ち上がって麦チョコの袋をニタローに渡し、リビングを出ていった。
袋は空だった。
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