終焉

 まぐれで灰亜の頭に当たったバッドのせいで、一瞬彼の動きが止まる。屈強な男たちはそれを逃さず彼を袋叩きにする。鮮血を撒き散らす灰亜を守るように〈初牢〉は所有者カイアを囲み、近くにいた男たちは鋭い棘の巻き添えを喰らう。


 血溜まりの中、数人生き残った男たちが私の方へ迫る。

 灰亜所有者の命の危険を感じ、彼を守る〈初牢〉は私から離れていったから。


「戻れ〈初牢〉……ッ。開戸さんを守れッッ」


 彼は力なく叫ぶが誰の耳にも届かない。むせて鮮血が口から飛び出す。


 私はネックレスに手をやるが、それは〈夜の化物〉以外には何の反応も示さず。


 顔の前を腕で覆うが、腕力のある男のパンチに体勢を崩し背後の壁に、背中から激突してしまう。続けざまに殴られ、目の前に火花が飛び散る。

 顔に傷みを数回感じた後、胸元がスースーして制服のブラウスが上から破られボタンが千切れた。


「やめてよっ」


 パンッと、音がして見遣ると、月雪母が血糊のついた鞭で床を叩いていた。

 それを合図に、周りの屈強な男たちが私の両腕をがっちりと固め、彼女の前に背中を向けさせる。


 パシッ。


「痛っ」


 パシッ。


「うっ」

「この淫売が……っ。死ねっ」


 逃れようともがいても力の強い男たちはびくともしない。


 パシッ、パシッ、パシッ。


「死ねっ、死ねっ、死ねえええっ」

「うっ……ううっ……っ」

  

 凄く痛い。血も出るし終わらないし灰亜は目の端にも入らないし、不思議なネックレスがあっても全然頼りにならない。ずっと止まらないし何かもう齢15にして死ぬんだろう。

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