メイド

 寝る前にシャワーを浴びた。

 月雪くんは自分のシャツを貸してくれだけどやっぱりブカブカで、肌着もないからスース―してる。もともとない胸がさらに減る……。


「月雪くん……ありがとう」


 風呂場を出ると、彼は冷えた水を出してくれた。


「それ飲んで」

「うん」


 リビングのソファに座ってると、彼はドライヤーで私の髪を乾かしてくれる。


「そこまでしなくていいのに」

「え? 聞こえねー」

「だから……何でそこまでしてくれるの?」


 ドライヤーまで? 初対面なのに? しかも私に優しくしてもお金貰えないし。これも燦吾の命令?


「いや。俺の……メイドだし」


いや普通逆じゃね? メイドがご主人様の世話をするんじゃないの?

彼は急に話題を変える。


「ちなみに、誕生日いつ?」

「3月」

「俺は4月」

「あ、じゃあ今月じゃん。誕生日おめでとう!」

「ありがとう」

「っていうか普通、メイドがご主人様の髪の毛を乾かすんだよ」

「細かいことは気にするな」

「は~い」


とは返事したけど。本当に「細かいこと」なのかな?


そのあと、私が寝かされていた最初の部屋に戻る。

私がベッドに入ると、彼は部屋を出ていき、しばらくして布団を持って戻ってくる。


「えと……?」

「寝てる間も護衛してる。気にしないで」

「いやでも」

「俺は空気。一切、開戸さんには触らない。いい?」


いや……。

 

「だめ」

「……」


彼は聞く気配もなく、いきなり消灯してしまう。

言葉通りこっちに来る気配はないけど、ドキドキして。眠れない。

きっと月雪くんも眠れてない。

でも護衛が眠っちゃだめなんじゃないかな? あれ?

まぁ誰しも24時間起きてられるわけじゃないからいいのかな……?


というか宅内なのに警備する必要ある……?




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